戦いの舞台に戻るまで、丸2年の歳月が流れていた。
3月6日。日野レッドドルフィンズ（以下、日野RD）のFL村田毅が、久しぶりに公式戦出場を果たした。三重ホンダヒート（以下、三重H）との3、4位決戦で後半26分、NO8千布亮輔に代わりピッチに立った。
公式戦出場は2シーズン前のトップリーグ2020第6節、2月22日のサントリー戦以来だった。
「（出られなくなる前までは）言い方は悪いですが、試合することに慣れてしまっていました。ただ今回は2シーズンぶりの公式戦で若いときのように緊張しました」
日野RDは終始、三重Hの背中をとらえていたが、最後は逃げ切られて19－20。敗戦の中で村田は何度もボールをもらい、体を当て続けた。
「試合前から自分が何をするか明確にしていて、シンプルなプレーにこだわろうと。強みにしている運動量でやり切ろうと思っていました。最後は負けてしまいましたけど、次につながるゲームだったと思います」
昨年は右膝のケガによる手術とリハビリに長い時間を要した。その後、一度は復帰したものの、今年初めにまたも不運が襲う。顎の骨折と脳震とうが重なり、再びグラウンドを離れた。
「かなりしんどかったですし、自分は弱いと感じたりもしました。ただ、いまはすべて無事に回復できて、自信を持ってグラウンドに立てています」
2年間という時間はあまりに長く、苦しいものだった。自分を責めた。けれど、この時間が無駄ではなかったと、いまでは思えている。チームのつながりを、より一層感じられるようになったからだ。
「日野に来てから3年間は試合に出る機会も多くて、なかなか試合に出られないメンバーと過ごすことがありませんでした。もちろん望んでその立場になることはないですが、そうなったことでいろんな選手と多くコミュニケーションを取れた。一生懸命サポートしてくれるトレーナーの存在だったり、いままで以上にチームのことを感じられるようになりました。それを経ていまの自分があるということは、この悔しくて苦しい2シーズンは無駄ではなかったと思っています」
翌13日の釜石戦のメンバーが発表された。村田は背番号6を着る。先発での出場が決まった。今年で34歳になるいわゆるベテランも、戦う姿勢は変わらない。
「僕がプレーできなかった時間もチームは前に進んでいて、特に若い選手がすごく伸びた。自分はまずそこの競争にシンプルに勝ちにいく。グラウンドに出たら、高い運動量とワークレートをしっかり出していきたいです」
チームは現在4連敗中。厳しい時間を過ごしている。チームが危機的状況だからこそ、村田にはできることがある。トップリーグに昇格してからの2年間はキャプションを務めていた。
「負けが続いていてチームとしてはタフな時間ですけど、僕がキャプテンだった時も負けが続いてかなりしんどかった。自分で思い詰めたりして、辛かった経験もしてきました。でもそういう経験をしてきたからこそ、（共同主将のオーガスティン）プルや堀江（恭佑）のサポートは僕にしかできないことだと思ってます」
グラウンド内外、まだまだ走り回る。