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「後半戦全勝して入替戦へ」。三重ホンダヒートの新キャプテン・古田凌の責任感。

2022.03.06

今季はここまで全試合にフル出場のFL古田凌主将(写真上/撮影:平本芳臣)

「めちゃくちゃ嬉しかったですね。やっとだったので」

 母校の話題になり、口角を上げる。帝京大の日本一は、自身が4年時に9連覇を成し遂げて以来だった。

 古田凌は三重ホンダヒートに加入して4年目を迎えた。帝京大4年時は先発FLとして同校の連覇をつなぐ一員になる。決勝は明大に21-20で勝った。
「優勝した時は苦しい思いもたくさんしてきたので嬉しさもあり、(それが報われて)ホッとしました。達成感もありました」

 今季からヒートのキャプテンになった。ディビジョン2からのスタートとなったチームは前半戦を3勝2敗。ディビジョン1への挑戦権を得られる3位につける。ただ決して満足のいく結果ではない。
「結果はしっかり受け止めた上で、後半戦は5戦全勝してしっかりチームを勢いづけた状態で入替戦に進みたいです」

 第2節では花園近鉄ライナーズに10-62で大敗した。思わぬ大差に、少なからず落ち込んだ。ただ次戦でその不穏な空気を払拭する。日野レッドドルフィンズを32-24で破った。
「(花園L戦は)全員がアタックでもディフェンスでも前に出る気持ちが少し欠けていました。でも試合はまだまだ続く、ここで落ちても意味がないと。リーダー中心にとにかくやるしかないぞと切り替えられていました」

 第4節では全勝中の三菱重工相模原ダイナボアーズに13-22で敗れるも、キャプテンとしての学びは多かった。
「いろんなオプションがある中で、どうやって点を取るのか。敵陣でペナルティを得たときにPGを狙うのかモールを選ぶのか、たらればではありますが、キャプテンとして学ぶことが多かったです。負けて悔しかったのは大前提としてありますが、次の試合に活かせる試合になったと思います」

 前田芳人GMと上田泰平ヘッドコーチからキャプテンに指名されたのは昨年の6月ごろ。ヒートは他チームに先んじて同月にはチーム練習をスタートさせていた。
 古田は3年目の昨季に公式戦デビューを果たした。出られなかった2年間はHO堀越康介やCTB岡田優輝など、すぐに主力で活躍する大学の同期を見て焦りもあった。自身は当時のキャプテンである小林亮太に加え、外国人選手との争いに勝てなかった。

「なかなか出られなくて、結構苦しい状況でした。でもそこで諦めたらダメ。みんなの吸収できるところはしっかり吸収して、さらに成長しようという思いが強くありました」

 帝京大でも先発が確約されていたわけではない。それでも腐らずに努力を続ける姿勢が古田の根っこにはある。だから昨季、チャンスが巡ってきた。第3節のトヨタ自動車戦でリザーブから公式戦出場を果たし、次節のクボタ戦で初先発を飾った。
「アタックでもディフェンスでもインパクトに課題が挙がっていました。それまでは後ろに倒されたり、タックルでも前に出られず抜かれたりというシーンが多かったけど、試合に出られるようになって、徐々にできるようになってきました」

 ただ昨季は4試合の出場で3試合リザーブと出場機会は決して多くなかったからキャプテン就任に不安もあったけど、「期待に応えたい気持ちと、ホンダヒートでもっと上を目指したい思いが強くあったので、やらせてもらいました」。

 京都成章高3年時以来の主将だ。ただ高校と違い、キャプテンになっても先輩がいる。そんな中でどう伝えたらいいのか、悩むこともある。小林前主将のサポートが心強かった。

「ただまずはラグビーでしっかり体を張って一番前に出て…というのがキャプテンとして必要なこと。それを体現してから、そうした思いを言葉に乗せていきたいです」

 言葉通り、今季はここまで全5試合でフル出場。攻守両面で随所に光るプレーを見せている。ワークレートも昨季に比べ格段に上がった。
「キャプテンだから一番先頭に立っていこうという思いがそうさせているのかもしれません」

 後半戦の初戦は3月6日。現在4位の日野レッドドルフィンズとの負けられない戦いから始まる。「目先の一戦一戦にしっかりいい準備をしたい」
 責任感の強いキャプテンが力強くチームを牽引する。 

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