ラグビーリパブリック

京都成章・大島泰真、花園屈指の司令塔、エキシビション戦に出場。

2022.03.05

第101回全国高校ラグビー大会で注目を集めた京都成章の大島泰真(撮影:松本かおり)


 偽悪をふるまうさまも堂に入っていた。

「僕がうまいからです」

 2022年1月3日、東大阪市花園ラグビー場。京都成章の大島泰真主将は、全国高校ラグビー大会の準々決勝に臨む。

 司令塔のSOに入り、東福岡と対峙する。相手は春の選抜大会王者で、コンタクトに定評がある。陣地を問わず球を振り回し、1対1で防御を蹴散らす。昨年の花園で準優勝した京都成章とて、好機を作る機会は限られた。

 その限られたチャンスを得点に結びつけたのは、背番号10の技能と判断だった。「僕がうまいから」の説得性を担保させる。

 前半5分過ぎ。グラウンド中盤で球を得れば、複数の防御の間へ仕掛けながら、その片方の選手の背後へパスを通す。受け手を一気に走らせる。

 かような動きがスコアに直結したのは前半終了間際。5-17とリードを追うなか、自身の手前のFWのユニットから球を受け取ると、自身に圧をかける防御をロングパスでいなす。ボールを右大外で受け取った味方が快走し、好位置でのペナルティゴール獲得を促す。それを自身が決め、8-17と迫る。

 以後は果敢に攻め込みながら球を失う瞬間もあったが、8-24と差をつけられて迎えた後半12分には自らのランでトライ。ゴール成功で15-24。最後は25-31と星を落としたが、最後まで攻め立てられた手応えを強調した。

 ソーシャルディスタンスが保たれた取材エリアで、記者団を見回して言った。

「僕たちが大差をつけて勝つ、ということはできないので。実力的にね。だから追いついて、追いついて、気持ちでタックルに行って、タックルに行って。そこから自分たちの自信のアタックをする。それだけでした。皆さんも、びっくりしたでしょう? アタックに」

 1年時からチームのレギュラーを張り、今大会でも総じて好判断で魅した。ラン、パスに加え、飛び出す防御の裏へのキックも秀逸だった。自然な流れで高校日本代表候補となった大島が今度プレーするのは、3月7日のエキシビションマッチだ。

「U19 Red Blossoms vs. U19 Blue Blossoms」。海外遠征に行けなくなった2021年度の高校日本代表候補による実戦の場で、大島はふたてにわかれたうちの「U19 Blue Blossoms」に入る。静岡・エコパスタジアムでの躍動が期待される。

 ちなみに関係者の話を総合すると、卒業後は関西の強豪クラブへ入る見込みだ。ただ、花園で卒業後の予定を聞かれれば「内緒です!」。進学先で出会う指導者との出会いは、心身にどんな変化をもたらすだろうか。

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