ラグビーリパブリック

ひたむきな二枚目。東芝ブレイブルーパス東京の濵田将暉は「優勝も狙える」と自信。

2022.02.26

ブレイブルーパスの11番をつける濵田将暉。2月19日のワイルドナイツ戦(撮影:松本かおり)


 笑顔の写真の下には、「リーグNo.1のイケメンがスピードで魅せる」とある。

 ベースボール・マガジン社刊の『ジャパンラグビーリーグワン カラー名鑑2022』の130ページの右下。東芝ブレイブルーパス東京の濵田将暉はかように紹介される。

「誰が言ってはるんですかね? 本当に僕なんかな、とは思っていますけど」

 オンライン取材の画面越しに所感を問われ、二重の目を緩やかに細める。

「嬉しいです。ありがとうございます」

 積んできた鍛錬は甘くない。

 出身は京産大だ。洛西ラグビースクール、西京極中、京都成章を経て入ったこのクラブでは、当時の指揮官だった大西健氏が「いついかなる場合も大学チャンピオンシップを目指す集団であること」「何事にも一生懸命ひたむきに」を提唱。早朝のウェイトトレーニングをはじめ、猛練習を学生に課した。

 濵田は、ブレイブルーパス入部3年目の今季もハードワークに挑んでいる。昨夏から昨秋にかけてのプレシーズン期間は、「4部練(習)」にも臨んだ。

 それでも、この時期と学生時代とでどちらが大変だったかと聞かれれば…。

「京産です」

 ほぼ即答である。

「結構、インパクトがあるのは…タイム設定ありの8キロ走ですかね。(目標タイムに)入れなかったら、罰走があるんですよ。そういうことを4年間、やってきました。しんどかった分、身体の強さ、フィットネスは確実につきました」

 身長174センチ、体重80キロの25歳。タッチライン際のWTBで働く。

 球をもらう前から対面の守備範囲から逃れたり、間合いを詰められるよりも先に足を刻んだりと、動きのきれで防御を切り裂く。タックラーに捕まれても1歩、2歩と前に出られるのも強みだ。

「身体が細い分、相手よりも早くボールをもらいに行くことなどを意識します。(相手とぶつかる際は)細かいステップでかわしつつ、あとは、ドライブしていく感じです」

 大学から社会人に転じたばかりの頃は、「自分はこんなにフィジカルが足りないんだと痛感しました。(全体練習でも)いまやっている(相手に)捕まってからの足かきが、はじめはできなくて」。現実と向き合い、自主練習で体幹を鍛えた。自分に必要な努力を自分で積み重ね、もとから得意だった走りをこの舞台でも表せるようになった。

 昨季は右肩を痛めて出番が限られたが、今季はチームの3試合目にあたる第4節から3戦連続でWTBとして先発。通算2トライをマークしている。

 海外出身選手との連携を深めるため、普段から認識のずれを解消し続ける。
 
「プレー自体には自信を持ってやっていました。なのでプレシーズンから、自分の課題だったコミュニケーションをより意識して練習に臨んできました。以前だったら、外国人選手の言葉を『だいたい、こういう意味だろうな』という感じで受け取っていました。ただ今年は、自分からどうしたほうがいいかを質問したり、より(真意を)かみ砕こうとしてきました」

 ここまでの通算戦績は不戦勝を含めて3勝3敗とする。2月19日の第6節では、昨季トップリーグ王者の埼玉パナソニックワイルドナイツと対戦。埼玉・熊谷ラグビー場での一戦では18-30と敗れたが、後半28分頃まで18-18と同点だった。

 相手WTBでオーストラリア代表のマリカ・コロインベテに強烈なタックルを食らいながら、「間合い的にかわせると思ったんですが、(自身が)ボールをキャッチしてからのタックルスピードが速くて…。これが世界レベルなんだと思いました」。一線級を皮膚感覚で知れたと前向きに捉える。

 2月26日の第7節でも、同じ位置で出る。今度は東京・夢の島競技場でNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安とぶつかる。
 
「(強豪と)そう大きく差はないなと思いました。あと少しで勝利できる試合を落としている部分があるので、そこをチーム全体で直していければトップ4も、優勝も狙えると思っています」

 ちなみに進路決定の際もよく話し合った大西氏は、自身の卒業後の翌年度限りで退任した。

 伊藤鐘史前監督、廣瀬佳司現監督が指導してきたここ2年間の京産大の情報に触れ、濵田は驚く。勤勉さを貴ぶクラブの文化はそのままであるものの、部員同士の絆を深める「チームビルディング」で登山がなされたと知ったからだ。

「僕ら(の時代)は、チームビルディングと言ってフィットネス(走り込み)をしていました」

 たたき上げの花形がまた笑う。

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