ジャパンにとって、昨今の課題であるLOの選手層。リーグワンはサクラへのチャレンジレースでもある。昨秋、日本代表に選ばれながら負傷で辞退した秋山大地(トヨタヴェルブリッツ)も、再びの代表入りを狙う。
秋山は昨年11月の日本代表欧州遠征メンバーに選ばれていたが、宮崎合宿で「これを終えたら羽田に向かう」最後の練習で足を負傷。出発2日前にメンバーから外れた。
「ずっと代表を目標にしてきたから当初はショックでしたけど、合宿では毎日が勉強でした。身体は疲れたけど、心は疲れなかった。こういうこともできるんだ、と楽しかった」
その後、リーグワン開幕を目指してリハビリを続け、1月29日のBL東京戦で復帰した。
帝京大からトヨタに入って3年目。南アフリカ出身であるジェイク・ホワイト前ヘッドコーチ(以下、HC)にフィジカルを鍛えられ、後を継いだNZ出身のサイモン・クロンHCがチームにパススキルを徹底して指導したことで、成長が加速した。
「僕はずっとパスが苦手で、実際にスキルも低かった。サイモンが来てパススキルを落とし込んでくれたことで、苦手意識がなくなった。そうなると、試合中に余裕が生まれる」
パスに自信がつき、持ち味だったコンタクトも、さらに迷いなくできるようになった。
今季は同じポジションに、ニュージーランド代表キャップ41を持つパトリック・トゥイプロトゥが加わった。世界トップのLOとコンビを組み、日々刺激を受けている。
「彼はボールを持ったら躊躇なくクラッシュする。自分だと動き出しが少し遅かったり、スペースを探す間にタックルされてしまう。LOとしての覚悟を持ってると感じます。メンタルもそうだし、そのための身体作りもしっかりしている」
昨季は10試合中9試合に先発。トップレくベルのフィジカルに揉まれたが、課題も残った。「メンタル面の準備に時間がかかって、終盤に疲れが出てしまった。去年学んだことです。今年は身体と心のケアをしっかりして臨みたい。今のところ調子よく来ています」
秋山に大きな影響を与えたのは、5歳上の兄・陽路さん(現・三重ホンダヒート)だ。二人とも190㌢前後(兄・189センチ、弟・192センチ)と体格に恵まれ、小中は徳島で野球少年。貞光工(現・つるぎ高校)に入学後ラグビーを始めた兄にあこがれて、同じ道を歩んだ。
陽路さんとはトップリーグ2020、2021と2回対戦した。それは家族にとっても、徳島のラグビー関係者にとっても誇らしい日だった。
「早くまた対戦したいですね」
同じディビジョンで戦える日を心待ちにする。兄弟ともLOだが、徳島出身のLOと言えば、代表の伝説的存在がいる。
「林敏之さん(神戸製鋼)ですよね。誰もが“ものすごくプレーが激しかった”と口を揃える。そういうLOに日本人としてなれればな、と」
これから5週連続で試合が続く交流戦。代表合宿で見つかった課題にも取り組み中だ。
「ジャパンの練習では体を当てる部分で通用する実感はありましたが、それをやり続けるワークレートがまだまだ。自分に足りていないところが見つかりました」
心身ともにタフなLOへ。充実の日々は続く。