ラグビーリパブリック

大差勝利につながる堅守。ワイルドナイツのベン・ガンターがエンジン全開。

2022.02.10

シャイニングアークス戦でプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたワイルドナイツのガンター(撮影:松本かおり)


 本領発揮だ。昨年初の日本代表入りを果たしたベン・ガンターが、持ち味を発揮した。

 2月5日、東京は秩父宮ラグビー場でのリーグワン・ディビジョン1の第5節に先発。埼玉パナソニックワイルドナイツの6番をつけ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安に挑む。

 身長195センチ、体重120キロ。力強さ、運動量が光る。

「秩父宮でラグビーができることがうれしい。ワイルドナイツのジャージを着て戦うことが大切な経験になっています」

 前半3分までに7-0とリードするや、自陣で守勢の局面を迎える。ここから示されたのが、ワイルドナイツの真骨頂だ。

 まずはグラウンドの端側の接点へ、ガンターが身体を差し込む。相手の展開攻撃の起点を封じる。

 ガンターが絡めば味方の次の防御網が整えられ、次の局面では同僚PRの稲垣啓太らが満を持して強烈なタックルを打ち込む。ここでもアークスの攻めのテンポが鈍り、守りの準備が整ったワイルドナイツがさらなる圧をかける。

 このようなシーンは、チームが48-5と勝つまで繰り返される。

 ガンターの一手はスコアも演出した。

 味方のハイパントを受け、敵陣中盤右までせりあがった前半6分。NO8の福井翔大にタックルされた相手走者の孤立を、ガンターは見逃さなかった。LOのマーク・アボットとともに、球へ絡む。反則を誘う。

 敵陣ゴール前に進んで簡潔に加点したのは、その直後のことだった。

「ブレイクダウン(接点)は自分たちの強み。ただ、バックロー(ガンターらFW第3列)だけではなくチーム全員がタックルで(相手を)止めることで、バックローがボールに絡める」

 ピンチをチャンスに変えた。続く24分頃には、自陣ゴール前中央でランナーをつかみ上げるチョークタックルを披露。脇を締め、腰を落とし、向こうの援護役に突撃されてもそうは動かなかった。

 さらに30分には、元オーストラリア代表で注目株のFB、イズラエル・フォラウへジャッカルを繰り出す。序盤の一撃と同じように、レフリーの笛を促した。

 チームにとっての初戦では直前まで別メニュー調整だったために欠場も、2戦目にあたる第4節では52分間、プレー。今度はフル出場を果たし、プレイヤー・オブ・ザ・マッチを受賞した。2つの不戦敗を除けば「無傷」の3戦全勝である。
 
 日本代表選手としての飛躍も期待されるが、「いまは何がパナソニックのラグビーにとっていいのかを考え、体現している」。いたずらも嫌いではない24歳が、画面越しの取材機会で殊勝な態度を貫いた。

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