存在感は増すばかりだ。
1月8日、東京は味の素スタジアム。東京サントリーサンゴリアスの小澤直輝が、ジャパンラグビーリーグワンの初戦に挑んでいた。
試合終盤になっても、自陣ゴール前で大型ランナーに鋭く刺さる。身長182センチ、体重102キロの33歳は、地上戦を働き場とする。
「運動量で勝負しないといけないポジションなので。相手の7番もいい選手ですし」
そう。対する東芝ブレイブルーパス東京は、小澤の務めるオープンサイドFLの位置へマット・トッドを起用していた。トッドはニュージーランド代表としてワールドカップを経験している。
それでもターニングポイントでは、黄色いジャージィの7番が持ち味を発揮した。
36-34とわずかなリードで迎えた後半20分頃。ハーフ線付近の防御網から飛び出し、強烈なタックルで相手走者をなぎ倒す。すぐに起立してボールの出所に働きかけ、味方のジャッカルに伴い向こうの反則を誘った。
まもなく自軍の新加入選手、ダミアン・マッケンジーがペナルティゴールを決めた。39-34。
「点差が開かないなかでしたが、やることはあまり変わらなくて。アタックであればフェーズを重ねること。ディフェンスなら1v1タックル。その、基本を徹底しただけという感じですかね」
こう語る小澤は、注目のマッケンジーには「すごく余裕を持ってプレーしている」と舌を巻く。この午後のマッケンジーは、ランニングスキルの披露こそ控えめだったがパスが冴えた。目の前の防御を引き付け、大外の空洞へ鋭く放つ。味方の韋駄天を気持ちよく走らせる。
果たしてサンゴリアスは、60-46で勝利。やや大味に映る試合展開を踏まえ、小澤はこう総括した。
「少しもたつく部分もありましたが、自分たちのやろうとしたことをシンプルに重ねていけばスコアにもつながっていた。しっかり来週に向けて修正して、ひとつずつ積み重ねていければ」
前年度まで続いたトップリーグは発展的解消。今度のリーグワンでは、外国人枠の変更に伴いプロ選手の活躍の場がさらに広がりそうだ。
裏を返せば、それまで国内の主流派と言われた社員選手は希少性を高める一方だろう。
小澤は30代の営業マンだ。それでもグラウンドに立てば、「あまり(雇用形態を)強く意識することはないです」。かねて、職業戦士のマインドセットで日々を過ごすからだ。
昨夏には、2017年以来の日本代表復帰を果たしている。世界的戦士にもポジティブにぶつかる。
「日本代表の合宿では(他選手の)コンタクトの強さも感じられましたし、そこで長く合宿できたことで、よりタフになれたと思います」
16日の味の素スタジアムでの第2節では、トヨタヴェエルブリッツとぶつかる。今度の相手も、FLに南アフリカ代表のピーターステフ・デュトイ、日本代表の姫野和樹といった大駒を起用しそうである。小澤は言う。
「タフなシーズンになると思いますが、そこでチーム力で勝っていくのがサントリーかな、と思います」