帝京大学が4季ぶりの王座奪還だ。
第58回全国大学ラグビー選手権大会の決勝が1月9日に国立競技場でおこなわれ、帝京大学は明治大学に27-14で勝利。9連覇を遂げた2017年度以来の大学日本一となり、10度目の優勝を刻んだ。
帝京は前半に4連続トライで主導権を握り、ディフェンスでプレッシャーをかけ続け、ブレイクダウンでも激しくファイト、そしてスクラムで圧倒するなど、最後まで強さを発揮した。
帝京を再び頂点に導いた岩出雅之監督は、「優勝できなかった期間の、多くの選手たち、スタッフ、そして応援してくださった多くの方の思いの分までしっかり力を出しきってくれという思いだけでした。本当によく頑張りました」と選手たちをねぎらった。
最初にスコアを動かしたのは前半5分。敵陣深くに入ってのラインアウトは乱れたが、ルーズボールをCTB押川敦治が拾い、そのまま突っ込んでゴールラインを割った。帝京はさらに13分、敵陣22メートルライン内に入ってテンポよくボールを動かし、右外でもらったWTB白國亮大がディフェンダー2人を振り切ってトライを決めた。
帝京はディフェンスもよく、速い出足でプレッシャーをかけ続けた。明治が敵陣深くに入っても、帝京はブレイクダウンでHO江良颯などがターンオーバーした。
帝京は34分にも追加点を奪った。スクラムで押し勝ってペナルティを得ると、ショットではなく、敵陣深くに入ってトライを狙いに行き、フェイズを重ね、NO8奥井章仁が切り込んでオフロードで右外のWTB白國につなぎ、トライを取りきった。
前半最後には白國がハーフウェイで相手パスをインターセプトし、独走で大きな追加点となった。
20-0で折り返す。
早めに点差を詰めたい明治は49分(後半9分)、敵陣深くでのラインアウト後にモールを組み、そこからボールを持ち出したHO田森海音がゴールへ突っ込み、トライが認められた。CTB廣瀬雄也のコンバージョンも成功。
息を吹き返した明治。
しかし、帝京は63分、スクラムで圧倒してキャプテンのPR細木康太郎が吠え、流れを引き戻した。
まもなく敵陣に入った帝京は、後半途中から出場のFLリッチモンド・トンガタマなどが強力なエンジンとなり、ゲインすると、22メートルライン手前から走り込んで突破したNO8奥井がタックルを外してそのままゴールへ走りきり、トライを挙げた。そして、前半にゴールキック不調だったSO高本幹也がコンバージョンを決めて貴重な2点を追加し、27-7となった。
明治は75分にゴール前のPKから攻めてトライを奪い返し、コンバージョンも成功で再び13点差としたが、リスタート後、帝京がプレッシャーをかけ続けてリードを守りきり、ノーサイドとなった。
敗れた明治の飯沼蓮キャプテンは、「やりきったが完敗でした。帝京は強かった。ブレイクダウンとディフェンスの強さに、自分たちのラグビーを出せなかった」と戦いを振り返る。
そして、全国制覇を成し遂げた帝京の細木キャプテンは、試合直後のインタビューで涙を流しながら、「これまでたくさんの応援やサポートをしてくれた人に本当に感謝したいです」と語り、大学の学長、教員、医学センターの人々、ラグビー部の監督、コーチ、家族、応援者、そして、これまで一緒に戦ってきた部員のみんなに感謝を述べた。
カギになると見られていたスクラムについては、「僕たちがプライドを持っていたスクラムで、試合を通して圧倒できたのは、これからの僕の人生においても、このチームの未来にも大きくつながると思います」とコメント。
ディフェンスについては「苦しいときでも、グラウンドで一緒に戦っている仲間の顔を見て、一生懸命頑張りました」と振り返った。
4季ぶりに王座奪還。岩出監督は、「連覇には連覇のよかった面がたくさんありますが、今年のチームは一度負けたところから上がってきた分、よりタフになって、学生の魅力がいっぱい高まった1年になったと思いますし、こういうすばらしい結果を与えてもらって、みんなで喜びたいなという思いでいっぱいです」と語り、優勝をかみしめていた。