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【全国高校大会】 準決勝は東海大仰星×東福岡、初ベスト4の國學院栃木は桐蔭学園に挑む。

2022.01.03

後半25分に決勝トライを挙げる國學院栃木WTB武藤倖吉(撮影:松村真行)


 東大阪市花園ラグビー場で開催されている「第101回全国高校ラグビー大会」は、1月3日に準々決勝がおこなわれ、東福岡高校(福岡)、國學院大學栃木高校(栃木)、東海大学付属大阪仰星高校(大阪第2)、桐蔭学園高校(神奈川)が勝ってベスト4入りとなった。

 その後、準決勝の組み合わせ抽選がおこなわれ、対戦カードは東海大仰星×東福岡、國學院栃木×桐蔭学園に決まった。

 10年ぶり2度目の準々決勝進出となった國學院栃木は長崎県立長崎北陽台高校と対戦し、17-7で競り勝ち、初のベスト4入りとなった。

 國學院栃木は序盤から長い時間敵陣でプレーし続けるも、長崎北陽台の粘り強いディフェンスもあってなかなか得点できずにいたが、前半21分、敵陣10メートルライン付近のスクラムでペナルティを得ると、ショットを選択し、副将でゲームキャプテンも務めるCTB田中大誠が約40メートルのペナルティゴール(PG)を決め、先制した。

 長崎北陽台は24分にU20日本代表候補でもあるSH川久保瑛斗が自陣から抜けて大きくゲインしたが、國學院栃木はFB青柳潤之介がブレイクダウンでからみターンオーバー。対して、29分には國學院栃木がゴールに迫ったが、今度は北陽台のFL末吉晃樹がジャッカルでやり返した。

 拮抗した試合となり、3-0で折り返しとなった。

 反撃に出る長崎北陽台に対し、國學院栃木は堅守でも流れをよくする。
 すると、後半8分、國學院栃木はSO伊藤龍之介の好タックルからターンオーバーとなって攻め上がり、敵陣22メートルラインに近づくと、SO伊藤がランで仕掛け、鋭いステップと強さも発揮して次々とタックラーをかわし、トライ。CTB田中もコンバージョンを決め、10-0となった。

 一方、14季ぶりの準決勝進出を目指した長崎北陽台も食らいつき、後半16分、WTB亀川友哉が自陣からブレイクスルーで大きくゲインしてチャンスとなり、たたみかけてLO白丸智乃祐がトライゲッターとなった。SO大町佳生がコンバージョンを決め、3点差に詰めた。

 逆転を狙う青いジャージーが躍動し始める。
 しかし、國學院栃木は25分、NO8小野田輝平のインターセプトからカウンターで攻め上がり、いったんボールを失ったものの、再び敵陣深くで奪い返してチャンスとなり、FB青柳がディフェンスをひきつけたあとWTB武藤倖吉がトライゲッターとなり、大きな追加点となった。
 コンバージョンも決まり10点差とした國學院栃木は、リードを守り切り、27回目の花園出場でチームの歴史を塗り替え、歓喜となった。

準々決勝から有観客に。多くのファンが花園に駆け付けた(撮影:松村真行)
激しいタックルを受けても前進する東福岡WTB越智光太朗(撮影:松村真行)

 春の全国選抜大会で優勝した東福岡高校は、準々決勝で京都成章高校と対戦し、31-25で制した。2016年度以来の王座奪還を目指し、これで9季連続の準決勝進出。

 先制したのは京都成章だった。開始早々、自陣からFB本橋尭也の好走を起点に次々とつなぎ、CTB藤原洋斗がフィニッシュした。

 対する東福岡は10分、15フェイズ重ねてワイドに振り、FB石原幹士がトライ。19分にも攻め込むと近場で勝負し、LO舛尾緑がインゴールに突っ込んだ。25分には、コンバージョンキックで着実に得点していたCTB平翔太がPGで追加点を挙げた。

 前半最後に京都成章のSO大島泰真がPGで点差を詰め、17-8で折り返しとなった。

 後半最初にスコアを動かしたのは東福岡で、6分にグラウンドを大きく使ったアタックでゴールに迫ると、最後はPR森仁之輔がピック&ゴーでインゴールに押さえた。

 粘る京都成章は13分、敵陣22メートルラインからキャプテンのSO大島が爆発的走りと鋭いステップでディフェンスを切り裂き、トライ。自らコンバージョンも決め、9点差に詰めた。

 勢いづいた京都成章は、21分に自陣深くでラインアウトスチールすると、そこからNO8小林典大の突破でアタックに火がつき、瞬く間に敵陣深くに入って15フェイズを重ねたが、東福岡が規律よく守ってブレイクダウンでターンオーバー。京都成章は25分にもインターセプトからチャンスになりかけたが、ここも東福岡がしのいだ。

 すると28分、東福岡はWTB遠藤亮真が左外でタックラーを次々と振り切ってゴールに迫り、粘ってサポートに来たLO大川虎拓郎につなぎ、勝利を引き寄せるトライを獲得。

 京都成章はその後、FB谷内亮太がパワーとスピードある走りでゴールへ駆け抜け、試合終了間際にもゴールに迫ってPR猿渡翔眞がトライを挙げ、執念を見せたが、逆転劇への時間はもう残っていなかった。

 東福岡は、昨年度の100回大会は準決勝で京都成章に敗れており、リベンジとなった。

大阪対決を制した東海大仰星。写真はCTB中俊一朗(撮影:松村真行)

 東海大学付属大阪仰星高校は、全国高校ラグビー大会通算100勝を達成した常翔学園高校と大阪勢対決となり、45-7で快勝した。
 前回大会は準々決勝で東福岡と引き分け抽選で涙をのんでいた東海大仰星は、4季ぶりの準決勝進出。

 序盤の連続攻撃は止められた東海大仰星だったが、前半7分、ディフェンスでプレッシャーをかけてターンオーバーし、ハーフウェイからのカウンターでFB増山将が走り切り先制した。

 9分にはSO吉本大悟の長いタッチキックで敵陣深くに入り、マイボールから攻め、パワフルなLO楠田知己のトライにつながった。

 13分には攻めていた常翔学園のパスが乱れ、ボールを拾ったSH石田太陽がカウンターで自陣から走り切り追加点となった。CTB野中健吾が着実にコンバージョンを決め、21-0となった。

 流れを変えたい常翔学園は17分、NO8ファイアガラ義信ダビデの中央突破でゴールに迫り、クイックリサイクルからFL大本峻士がトライを奪い返す。

 しかし、東海大仰星は20分、敵陣深くに入ってアタックを継続し、CTB中俊一朗が5点を入れ、すぐに突き放した。

 東海大仰星は29分にもターンオーバーからのカウンターでボールをつなぎ、FB増山がフィニッシュ。33-7で折り返した。

 後半に入ると、常翔学園が反撃で何度もゴールラインに近づいたが、東海大仰星は堅守でしのぐ。
 すると、仰星は10分、カウンターラックからたちまち敵陣深くでアタックチャンスとなり、キックパスを受けたLO中田偲響がインゴールに持ち込んだ。その後も1トライを追加。

 ディフェンスも光り快勝となった東海大仰星が、4季ぶりの優勝へ向け、また一歩前進した。

突破を図る桐蔭学園CTB中瀬亮誠。後半5分のCTB松田怜大のトライにつながる起点を作った。(撮影:松村真行)

 そして、東福岡、東海大仰星と同じAシードで、花園3連覇の偉業に挑む桐蔭学園高校は、準々決勝で佐賀県立佐賀工業高校と対戦し、26-0でタフな戦いを制した。

 前半は、21年ぶりのベスト4入りを目指した佐賀工のディフェンスが光った。
 序盤のピンチはFB井上達木がブレイクダウンでからみターンオーバーすると、14分には桐蔭学園が18フェイズを重ねてゴールラインを越えたが、佐賀工はグラウンディングを許さなかった。15分にも桐蔭学園が攻め込んだが、ノックオン。

 それでも、桐蔭学園も辛抱強く、18分、ワイドにタテにテンポよく攻め込み、右の空いたスペースを見たSO今野椋平からのキックパスがWTB原小太郎にとおり、背番号11がインゴールに持ち込み先制した。
 原は22分にもディフェンスを抜けて快走し、連続トライ。今野のコンバージョンも決まり、12-0で折り返した。

 桐蔭学園は、後半5分にはCTB中瀬亮誠のブレイクスルーからチャンスとなり、CTB松田怜大のトライにつながった。

 19-0とリードを広げると、PR増田廉のジャッカル連発でも桐蔭学園は活気づいた。

 そして、後半17分には敵陣深くでプレッシャーをかけてボールを奪い返し、WTB原がハットトリック。

 意地を見せたい佐賀工は、終盤の26分にWTB松元蓮真が自陣からのカウンターで鋭い走りを見せ、敵陣深くに入ってアタックを継続しゴールに迫ったが、桐蔭学園は粘り強い守りでトライを許さなかった。

 ロスタイムにもドライビングモールやキックパスなどでトライを目指した佐賀工に対し、桐蔭学園は堅く激しいディフェンスをやりきり、無失点で戦いを終えた。

 準決勝(第1試合:東海大仰星×東福岡、第2試合:國學院栃木×桐蔭学園)は1月5日におこなわれる。

第101回全国高校ラグビー大会。準々決勝の組み合わせが決定(撮影:松村真行)