ラグビーリパブリック

伝統の継承者。東海大・小池隆成、モールの軸としての矜持を示す。

2021.12.31

ハンドリングスキルもある東海大の小池隆成。11月7日の法政大戦(撮影:松本かおり)


 ユニット、多いな。東海大ラグビー部へ入った時の、それが印象だった。4年生の小池隆成は、そう語る。

「だから、強いんだなと」

 FWとBKが分かれておこなう「ユニット練習」に入ると、小池らFW陣はひたすらモールを組む。モールとは、ボール保持者を軸にした塊。選手同士が互いに密着し、進行方向を共有するのが肝だ。東海大は反復練習によって、モールをクラブの看板に昇華していた。

 小池は1年時からレギュラー入りも、当時はモールでの基礎的な動きが「できていなかった」。そのため当時は、昨季卒業した山田生真(コベルコ神戸スティーラーズ)、2018年度のFWリーダーだった西川壮一(東海大浦安高校)、さらにコーチだった中山忠勝(東海大静岡翔洋高校)に「厳しく言われ、叩き上げられた」。いまでは自らが中心となり、防御の薄い箇所へ塊を勧める。

「チームから求められている部分でもあるので、責任を持ってやろうという自覚があります」

 身長188センチ、体重107キロの体躯でLOへ入り、突進やタックルでも際立つ。今季は加盟する関東大学リーグ戦1部で4連覇を果たし、過去準優勝3回の大学選手権では年内までに4強入り。1月2日、9日と東京・国立競技場でおこなわれる準決勝、決勝をにらむ。

 今季は選手間ミーティングを増やし、組織的な攻撃も磨いてきた。しかし、モールが強みである点は変わらない。重要局面ではきっと、青い岩が動く。小池は言う。

「モールで優勝できなかった先輩がいる。その時のやってきた練習、モールに対する思いが無駄ではなかったというのを、僕たちが優勝するなかで証明できたら、それが一番、嬉しいです」

 杉並少年ラグビースクール、千歳中、東京高を経て東海大に進んだ。大学選びの際には「FW主体のチームがいいな」と考えており、高校から先輩、後輩の間柄だった山菅一史(横浜キヤノンイーグルス)からの電話勧誘でいまの道を選んだ。その時の選択肢には他に、明大があった。不思議なもので、学生生活最後の選手権準決勝ではそのチームとぶつかる。

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