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都立大が熱戦で21-19、東工大を制し5位。関東大学リーグ戦3部

2021.12.01

東京都立大×東京工業大。前半4分、都立大SO根立が先制トライを奪う(撮影:見明亨徳)


 関東大学リーグ戦3部は11月28日の順位決定戦が最終日。八王子市の京王線南大沢駅に隣接する東京都立大グラウンド、5位決定戦が都立大と東京工業大との間で開催された。南大沢駅はリーグ戦1部や対抗戦Aの試合をおこなう上柚木陸上競技場の最寄り駅だ。今季、都立大グラウンドでは初めての有観客試合。およそ100人の両校ラグビー部関係者や父母が見守る中、熱い戦いを繰り広げた。

 前半、都立大のキックオフで始まった。東工大のキックを受けるとさっそく敵陣へ入る。2回目のラインアウトを得る。左ラインアウトからモールで押し込みラックへ。走り込んだSO根立耕直(4年、川越高)が右中間インゴールへ運び先制した。コンバージョンは左足ブーツのFB松本岳人(4年、所沢北高)が決める。7-0。

 8分には22メートルライン外の右ラインアウトから攻め続けると、主将のLO谷村誠悟(4年、青山高)が2人目のファイブポインターに。ゴールキック成功で最後の試合にかける4年生が躍動する。谷村は「前半はやりたいことができた。期待以上、うまくいきすぎた」と振り返る。

東工大は15分、バックスの連係でトライへつないだ(撮影:見明亨徳)

 前半は風下を選択した東工大、なかなか都立大陣へ入ることができない。それでも15分、鮮やかなつなぐラグビーを披露した。自陣スクラムから左へ。WTB河端省吾(3年、東邦大付属東邦高)へ渡ると都立大ディフェンスを破る。外へフォローするアウトサイドCTB並木練作(1年、千葉東高)が受ける。さらに内へ切るインサイドCTB白石魁(3年、浦和高)につなぐと、最後はLO南山孝介(3年、常総学院高)がインゴール、ポスト右から回り中央へ仕留めた。コンバージョンは白石が成功し14-7。

 結果的に決勝点となる得点は都立大FB松本の左足が生んだ。22分、自陣からのロングキックで東工大陣へ蹴り込む。ボールは22メートルライン内側でバウンドし転がり、左タッチラインを越えた。新しいルール「50/22」が適用されて都立大ボールのラインアウトに。モールで押すとHO高尾龍太(3年、高津高)が左隅へ置いた。ゴールキックも松本が確実に決め、21-7とする。リスタート後も松本のキックに新ルールが適用されるも得点機は逸した。

都立大FB松本。ロングキックで50/22ルールのラインアウト確保、トライへ貢献(撮影:見明亨徳)

 東工大・照沼康彦監督は「前半、風下を選択したがロングキックにやられた」と称える。谷村主将も「FWはあのキックに助けられた」。松本は「(キックは)狙っていた。試合前の分析で相手の14番のところに蹴ったら外に出してくれるか蹴り返しも勝てるだろう。50/22のルールもあるので。想定した以上に飛んで前半はうまくマネジメントができた」と話す。

 しかし後半の最後は、東工大の時間になった。14分に都立大がPGを外す。22分に敵陣へ入る東工大はリザーブから入ったFW岡山宙央(2年、青山高)が左中間へトライ。コンバージョンも決まり21-14。30分前後はお互いに攻め合う。35分、都立大BKに危険なタックルでイエローカードが出た。残り5分は都立大が1人少ない展開に。

 東工大は逆転を狙う。敵陣ゴール前のラインアウトを選択も、インゴールで押さえきれず。再び左ラインアウトにする。40分、モールで押すと左PR伊藤史紘(3年、帯広柏葉高)が2点差となるトライを取り切った。ラストとなったゴールキック、これが外れて21-19で終えた。

後半40分、東工大はモールで押し込みFW岡山がトライ、2点差へ迫った(撮影:見明亨徳)
都立大では今季初めてで最後の有観客試合。約100人が詰めかけた(撮影:見明亨徳)

 コロナ禍の2年間が厳しい現実をつきつけた。東工大は2019年シーズン、3部で5勝1分け1敗で3位。優勝した東京農業大に21-22で惜敗、2位駿河台大と15-15の引分け。駿河台大と直接対決のトライ数3-2で2部との入替戦を逃すも、チームの成長を感じていた。
「都立大はいい練習をしてきた。東工大は国立大理系、きょうの先発15人のうち8人は高校でラグビーをやっていない。コロナ禍の2年間で新入部員が少ないのと、練習ができていないことが出ますね。一昨年のレベルまでいかない。この2年間は苦しかった。80分間できるスキルがまだないのですね。だから来年、再来年またしっかり練習をして、そのレベルまであげていかないと」(照沼監督)

 照沼監督とは早大ラグビー部の後輩になる都立大の藤森啓介ヘッドコーチ(元早稲田摂陵高監督)は話した。
「いいゲームだったと思います。入りは本当によかった。ただ簡単なゲームではないとわかっていた。東工大も素晴らしいので、後半は厳しい時間帯が来るというのは、僕の中では想定していました。ただ最後、取られるのは想定してなかった。今年の目標、最後をどうやって終わらせるか。去年も3点差、熱いゲームだった(都立大17-14東農大)。今回も2点差。チャレンジャーの立場、東工大が上のレベルにいて歴史上1回もリーグ戦で勝ったことが無かったが、勝てて歴史をみんなと作ることができた。最後、みんなが泣いて喜べる80分間、学生にとって素晴らしいことと思うし、自分もその時間を一緒に戦えたことを嬉しく思います」

 来季はお互いに部員確保からチーム作りを始めないといけない。都立大の選手は今年度3年が10人、2年3人、1年3人だ。東工大は3年12人、2年7人、1年8人と在籍するが、大学から楕円球を選んだ学生が多数いる。その中、理学部物理学科の都立大FB松本は「来年以降も大学院に進学してチームに残って貢献していければと思います」と現役続行を表明だ。楕円球に親しむ来年の新入生を迎えたい 。

部員不足に悩む両校。都青山高出身3人も後輩たちを待つ。
左から東工大FW岡山宙央、都立大主将LO谷村誠悟、東工大FW日高清史郎(撮影:見明亨徳)

 3部他の順位戦、決勝戦は防衛大が後半突き放し、東京農業大を35-21(前半14-14)で下し優勝した。2校はリーグ戦2部8位の国士舘大、7位朝鮮大と入替戦を戦う。
 3部は、今年も所属8校をA、B組に分けて3試合ずつを戦い、A、Bの同じ順位同士で最終順位を決めた。Aが防大、Bが東農大でともに3戦全勝で1位通過していた。
 3位決定戦は結果未確認(玉川大-駿河台大)。7位は千葉大で、44-5で国際武道大を下している。

 4部は決勝戦で千葉商科大が駒澤大に54-0と快勝。3位決定戦は東京理科大が41-19で横浜国立大に勝利。5位決定戦/神奈川大-独協大(未確認)、7位決定戦/埼玉工業大26-24創価大。

 5部は新興の新潟食料農業大が順天堂大を24-14で下し栄冠をつかんだ。3位決定戦も地区対抗から移籍した東京外語大が17-5で芝浦工業大に勝利。5位決定戦/東京経済大40-36桜美林大、7位決定戦/神奈川工科大61-31千葉工業大。