ラグビーリパブリック

好調の大東大に「研究熱心」な主将。酒木凜平が「自分たちはできる」の気持ちで戦う。

2021.11.27

10月17日の日大戦でボールを手に前進する大東大の酒木凜平(撮影:松本かおり)


 大東大ラグビー部が今季、好調を維持している。

 加盟する関東大学リーグ戦1部で11月21日までに勝ち点19を挙げ、8チーム中3位。残された最終戦を終えて上位3傑に残っていれば、3シーズンぶりの大学選手権出場が叶う。

 前年度は6位に終わるも、今季は秋廣秀一新ヘッドコーチとともに防御を引き締めてきた。チームの先頭に立つ酒木凜平主将は、クラブの歴史的背景ともリンクするような談話を残す。

「大東大は(早大、慶大などが参加する)対抗戦の名門校とは違って、個々の能力とか、色が、他のチームよりも濃い、ひとりひとりがおもしろいチームです。そういうチームをまとめるには、オンとオフの切り替えをしっかりしないといけない。オフは遊んでもいいのですが、練習にそれを持ってきてしまうと、ひとりひとりの主張が激しくなっていい練習ができない。練習はオンで取り組み、やり切ることは意識してきました」

 日本でトンガ人留学生を招いた最初のクラブとして知られ、1986年度から計3度、大学日本一に輝く。直近では青柳勝彦前監督(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が在任していた2018年度までの6季で、2度の全国4強入りを果たした。現役時代、母校の名FLだった青柳前監督は、指揮官となるや寮に住み込んだ。規律を重んじた。

 折り目の正しさと奔放さのバランスが肝となるこのクラブにあって、今季、船頭を任されたのが酒木である。

 身長178センチ、体重105キロの22歳。岡山県出身で、茨城のツクバリアンズジュニア、千葉のあびこラグビースクール、奈良の御所実高を経て大東大の門を叩いた。スクラム最前列のHOに入りながらパス、防御の裏側へのキックで器用さを示す。就任3年目の日下唯志監督いわく、こんな資質の持ち主のようだ。

「ラグビーが本当に好き。研究熱心でもあります。プレーで魅せてくれるし、シーズンに入ってからそれ(魅力)が一層、深まっています」

 本人の意識は、「ポジティブな気持ちになると大東大は勢いづく」。いついかなる時も前向きであらんとする。

「去年は…。誰も悪くはなかったのですが、いま思えば、チームに勝ち癖がないというか、試合に臨む気持ちが『やるぞ』という雰囲気ではなかったと思っていて。それが自信(の醸成)につながっていなかった。(今季は)自分たちはできるんだと言い聞かせて臨めているので、ディフェンスでもプレッシャーをかけられ、いい試合ができている」

 11月28日、埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で中大とぶつかる。

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