大学選手権出場に望みをつなぐ者同士の一戦は、最後の最後まで勝負がわからなかった。
8校中上位3傑が選手権に進める関東大学リーグ戦1部は、11月21日、各地で第6節をおこない、勝ち点11で暫定4位だった法大と勝ち点8で暫定5位タイだった流経大が東京・江東区夢の島陸上競技場で激突。流経大が18-17で法大を破った。この結果、流経大、法大(負けも点差7以内)とも勝ち点を12としたが、同日の試合で大東大が勝利を挙げ3位以内を確定。流経大、法大の大学選手権出場は消滅した。対戦時点では、良好にとって大学選手権へのサバイバルマッチであったこの試合は、終盤にリードが二転する息詰まる展開となった。(編集部/レポート=向 風見也)。
法大は後半36分のペナルティーゴール成功で一時2点リードも、ロスタイムに連続攻撃を受ける。たまらずオフサイドの反則を犯す。FLの大澤蓮主将はこうだ。
「主将として皆のメンタルを統一できなかったのは反省点です。最後のディフェンスのところでは、熱くなって1人ずつが前に出ようとしている部分があった。そこで焦られないようにするべきでした」
対する流経大のFBでゲーム主将の河野竣太副将は、レフリーに残り時間を確認する。最後のスコアを託されたのは、ゴールキックの精度に「自信があった」というSOの中澤響だった。敵陣10メートル線付近右中間からペナルティーゴールを決める。18―17。流経大ベンチは絶叫した。
内山達二監督は安堵する。
「強みを出した部分、出し切れなかった部分があり、思った以上に厳しい展開のゲームだった。勝って反省できる、次に繋げられるのが非常によかったなと思います」
先制したのは法大だった。前半20分、大澤が敵陣ゴール前で突進を図った。それまでは互いに膠着状態。互いにチャンスを作ってはミス、反則で立ち止まる。初めて試合が動いた時は、流経大のLOで先発したアピサロメ・ポギドラウが一時退場処分を受けていた。さかのぼって5分、豪快な突破をした直後の接点で危険なプレーを記録している。
それでも後の勝者は、河野曰く「ダイナミックラグビーが自分たちの基本。大きくグラウンドを使ってアタッキングラグビーをしました」。エリアを問わず大きく球を動かす。
29分にはハーフ線付近右のラインアウトから深めのパスをつなぎ、CTBの永山大地がタックラーをかわし快走。その永山からラストパスを受け取った河野は、約25 メートルを駆け抜けフィニッシュした。ここでスコアを5―7とした。
さらに直後のキックオフでは、対する法大がキックオフのボールをノーバウンドでタッチラインの外へ蹴り出してしまう。まもなく発生したセンタースクラムでも反則を取られ、対する流経大は再び敵陣で好機を得る。
流経大は落球でチャンスを逸しかけるが、法大のスクラムでの反則によりゴール前に迫れた。最後はラインアウトから局地戦を仕掛け、戦列に復帰していたポギドラウが止めを刺した。直後のゴール成功で12―7とした。
「今日の試合はとてもタフなゲームになりました。ミーティングした通りにチームファーストの気持ちで試合に臨みました」
ポギドラウがこう振り返る傍ら、法大のFB兼ゴールキッカーである石岡玲英はこうだ。
「細かいところでのミスで流経大さんに勢いを与えてしまった。パスひとつひとつのミスもあったし、接点に入る人間がオン・ザ・ボールで(球の上を)セキュリティできていなかったこと、サポートが遅れてしまったこともあった。それで流経大さんのいいプレッシャーにあおられてしまった」
序盤からハイテンポな攻めを志向も、目指す形がスコアに繋がったのは15―7と8点リードを許した後半24分以降。終盤戦はジャッカルでも魅したLOの竹部力が突進でも光ったが、白星には至らなかった。
敗れた駒井孝行監督は、「速い球出しで相手を疲れさせたかったが、最後の最後に規律を守れなかった」と落胆気味。これで勝ち点は12となり、流経大と並んで8チーム中4位タイ。28日には東京・秩父宮ラグビー場で、現在勝ち点27、首位タイの日大と対峙。他会場の結果を受け、大学選手権出場の芽は摘まれた。大澤主将はこうだ。
「残り最後の1戦を勝利で収められるよう、準備していきたい」
次戦の日付と会場は、勝った流経大も同じ。日大と並んで勝ち点27で、同率1位4連覇を目指す東海大へぶつかる。こちらも選手権出場は果たせないが、プレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞した中澤は「後半、相手のテンポにされたところは修正して、次の東海大戦に臨みたい」。一戦必勝を誓う。