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大学ラグビーは各リーグとも大詰め。好カード目白押しの残り2節の見どころを総チェック【J SPORTSでLIVE中心に全試合配信!】

2021.11.18

今季全試合で紫紺の10番を背負う明治大学SO伊藤耕太郎。持ち味のランでチームを勢いづけている(撮影:松本かおり)

大学ラグビーは11月に入って各リーグとも後半戦に突入し、昨シーズンの上位チーム同士の激突が始まった。今後、関東大学対抗戦 Aと関西大学Aリーグは12月第1週、関東大学リーグ戦1部は11月第4週で全日程を終え、大学選手権出場校が確定する。残り2節の佳境を迎えた各リーグの見どころを、ここでチェックしてみたい。

11.20明治×帝京は対抗戦の優勝争いを左右する大一番に。早稲田も可能性残す

前年度の大学選手権で3校がトップ4入りを果たすなど実力校がひしめく関東対抗戦は、すべてのチームが5試合を終えた現段階で昨季優勝の明治大学と同4位の帝京大学が全勝を維持している。この2校に続くのが4勝1敗の早稲田大学で、3勝2敗の慶應義塾大学、2勝3敗の筑波大学までが、大学選手権に出場できる5位以内につけている状況だ。

ここまで全試合で相手に3トライ以上の差をつけるボーナスポイント付きの勝利を挙げて首位に立つ明治大学は、序盤の3試合こそチグハグなプレーが目立ったが、10月24日の筑波大学戦で53-14と快勝してそれまでの不安を一掃した。10日後の慶應義塾大学戦でも、FWの縦の推進力と横幅一杯にボールを動かすBKの展開力を組み合わせた攻撃でトライを重ね、46-17と圧倒。現状では頭ひとつ抜けた存在という印象だ。

勝ち点2差で2位の帝京大学は、11月3日の早稲田大学戦でスクラムを制圧し、大きな白星を挙げた。フィジカルバトルでプレッシャーをかけ、相手の集中力が途切れた瞬間にたたみかける厳しい戦いぶりは、選手権連覇時の迫力を想起させる。11月20日の明治大学との全勝対決は、対抗戦だけでなく大学選手権の優勝争いをも左右する大一番といえよう。

大田尾竜彦新監督が就任した早稲田大学は、シーズン序盤に仕上がりのよさを感じさせるパフォーマンスを披露していたが、帝京大学戦ではFWが劣勢を強いられ苦い敗戦を喫した。特にスクラムの課題が浮き彫りになったが、後半3トライを奪ったBKの決定力は大学随一で、明治大学-帝京大学の結果次第では優勝の可能性が残る。12月5日の早明戦が優勝をかけた一番になれば、会場の秩父宮ラグビー場はおおいに盛り上がるだろう。

現在4位の慶應義塾大学、同5位の筑波大学は優勝の目がなくなったが、慶應義塾大学は早稲田大学戦(11月23日)、帝京大学戦(12月4日)に向け、部一丸となって急速にチーム力を高めてくるはずだ。筑波大学も大学選手権出場を決めるために、残る立教大学戦(11月20日)、日本体育大学戦(11月27日)は絶対に落とせない戦いになる。最終節まで目の離せない戦いが繰り広げられそうだ。

強力FW陣の一角を担う東海大学LO小池隆成。前に出る推進力が持ち味(撮影:松本かおり)

関東リーグ戦は東海が充実。11月21日の日大との全勝対決で王座の行方が決まる

関東大学リーグ戦では、3連覇中の東海大学の充実ぶりが目を引く。ここまでの5試合で総得点は308(1試合平均61.6)、失点はわずかに43(同8.6)。とりわけ8人平均で110キロ近い超重量FWの破壊力は強烈で、自慢のラインアウトモールやパワフルな突進から多くのトライを量産している。

木村季由監督が「体を張って姿勢を示せるリーダー」と厚い信頼を寄せるFLジョーンズリチャード剛主将を軸に、ラグビーの原点であるフィジカルバトルで相手を圧倒できていることが、安定感ある試合運びの要因だ。SO武藤ゆらぎ、CTB丸山凜太朗のダブル司令塔が牽引するBKラインも得点力があり、FW戦に偏ることなくプレーを組み立てられる点は、今後のタイトな戦いに向け重要な強みとなる。このまま上昇曲線をたどることができれば、悲願の初の大学日本一も十分視野に入るだろう。

第5節終了時点で5戦全勝、勝ち点25で東海大学と並んでいるのが、昨季3位の日本大学だ。直近の2試合で関東学院大学、流通経済大学にいずれも34-22と迫られるなど、勝ちっぷりは東海大学ほど派手ではないものの、全試合でボーナスポイント付きの勝利を重ねてきたのは、確かな地力の証といえる。

残り2試合で3位大東文化大学との勝ち点差は11あり、優勝争いは東海大学と日本大学の2校に絞られた。11月21日の全勝対決は、リーグ戦の王座をかけたビッグマッチとなる。

また大学選手権出場の残り1枠を争うのは、勝ち点14の3位大東文化大学と、同11の4位法政大学だ。直接対決で29-21と勝利し、現状で勝ち点3差をつけている大東文化大学の残り試合の相手は、暫定8位の専修大学と同5位の中央大学。一方、法政大学は流通経済大学、日本大学と昨季の上位勢との対戦になるだけに、大東文化大学が有利な状況といえる。勝ち点8の流通経済大と中央大は残り2戦全勝が最低条件となる。

多彩なスキルを駆使してゲームを組み立て、自慢のFWを前に出す京都産業大学SO家村健太(撮影:佐藤真一)

京産、天理、近大、同志社…大混戦の関西リーグは最終節までもつれる展開に

昨季は天理大学が大学選手権で初優勝を果たし、36年ぶりに関西勢が日本一の座を奪還した。長く続いた関東優勢の流れを変える快挙に刺激を受け、今シーズンの関西リーグは活気ある順位争いが繰り広げられている。

序盤戦で話題をさらったのは、前年度8位の近畿大学だ。初戦で天理大学から23-7の金星を挙げたのに続き、2戦目でも同志社大学を24-10と撃破。優勝候補に連勝したことで、一躍覇権争いの主役となった。

しかし近畿大学の快進撃も、10月17日の第3節でストップする。立ちはだかったのは、元日本代表のSO廣瀬佳司氏が新監督に就任した昨季3位の京都産業大学だ。よく練られたキック戦術と堅固な組織防御を武器に16-12で近畿大学の連勝を止めると、11月6日の同志社大学戦でも終了間際の逆転トライで22-19と勝利。第5節終了時点で唯一全勝を維持し、勝ち点23で首位に立っている。

近畿大学もその後は関西学院大学、立命館大学からボーナス点付きの勝利を手にし、現在は4勝1敗の勝ち点19で暫定3位。開幕節で苦杯を喫した天理大学はその後徐々にチームを立て直し、4連勝で勝ち点を20まで伸ばして2位につけている。3勝2敗で勝ち点16の4位同志社大学までが、優勝の可能性を残している状況だ。

残り2節でもっとも重要な戦いとなるのが、11月20日の天理大学対京都産業大学戦だ。京都産業大学はここに勝てば最終戦の相手が現在最下位の関西学院大学だけに、23年ぶりのリーグ制覇へ大きく前進できる。逆に天理大学は何としても勝利して、12月4日の同志社大学との最終戦まで望みをつなぎたいところだろう。

近畿大学はすでに上位勢との対戦を終えており、残る2戦の相手は現在6位の摂南大学と、同5位の関西大学。ここできっちり勝ち点5ずつを積み重ねることができれば、初優勝の可能性が出てくる。また大学選手権の関西からの出場枠が4に決まったことで、4位争いも俄然熱を帯びてきた。7点差以内の負けか4トライ以上獲得した場合に与えられるボーナスポイントが大きな意味を持つ可能性も高く、最後の2節は勝敗だけでなく内容も含めて、熾烈な戦いになることが予想される。

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【ラグビー 関東大学対抗戦、関東大学リーグ戦、関西大学リーグ】

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