頼りになるエースフルバックが試合を決めた。
11月14日、ニッパツ三ツ沢球技場で神奈川県花園予選の決勝がおこなわれた。3大会連続の同カードで、昨季は2点差(19-17)ということもあり、激戦必至の前評判。
果たして、花園2連覇中の桐蔭学園が食らいつく東海大相模を終盤に突き放し、22-9で辛くも勝利を収めた。桐蔭は7大会連続20回目の花園出場を決めた。
桐蔭のエースFB、矢崎由高が終盤にようやく本領を発揮した。
15-9で迎えた後半20分。自陣からミスのない連続攻撃でゲインを重ね、FB矢崎がラインブレイク。さらに2人をかわして走り切り、ゴールラインを越えた。22-9とし、これが決勝トライになった。
相模はノートライもPGで食らいついた。終盤のトライを許すまで、点差を一桁で抑えていた。「PGで寄せていくのはプラン通り。ただ簡単な取られ方をしてしまった」と三木雄介監督は肩を落とす。
痛かったのはキックオフ直後の2度の失点だった。
1本目は試合開始直後。桐蔭のWTB原小太郎がキックチャージを決めて、そのまま捕球。わずか10秒で先制トライを挙げた。
前半20分のPGで3-7と迫るも、その直後のキックオフでまたもやられた。桐蔭は敵陣ゴール前で人数をかけ、すぐさまカウンターラックに成功。近場でPR増田廉が飛び込み、12-3とリードを保った。
それでも、ペナルティを重ねる桐蔭に対して、相模は迷わずショットを選択。前半終了間際と後半5分に2PGを加え、9-12とした。前半は風下を選択して、風上に立つ後半に勝負をかける相模の作戦通りに、ここまでは進んでいた。
だが桐蔭はミスのないアタックでボールポゼッションを高め、大きな突破を許さない堅守で相模の思い通りにはさせなかった。
桐蔭の藤原秀之監督は「ディフェンスや接点は春夏に比べて良くなっている」と話し、「後半の途中からアタックのリズムが良くなった」とNO8真田隼翔やSO大賀雅仁らリザーブの選手も評価した。
ただ勝ち方に関しては厳しい見方をした。「試合前にキックチャージ(を食らう可能性が)あるぞと話していて、それが逆になっただけ。うちも2回やられたし、それがたまたま(相模の)トライにつながらなかっただけです」と表情は険しかった。
桐蔭にとっては藤原監督が監督就任20年目で、花園出場20回目の節目にあたる。花園3連覇への期待は当然高まるが、「そんなに大きなことは言えません。ひとつの全国大会で勝つことがどれだけ大変かをわれわれはよく分かっている。まずは一つ勝つこと」と約1か月後の決戦に向けて気を引き締めた。