11月13日、クボタスピアーズグラウンド(千葉)で東芝とクボタのプレシーズンマッチが行われた。若手も多く出場した両軍の戦いは、東芝が開始3分でトライを奪うなど積極的に攻めた。後半17分には19点差をつけるなどスコアで大きく先行。後半は特に東芝の接点の強さが光った。
東芝は開始から大きくボールを動かして、長いパス、ワイドなアタックを仕掛けた。開始3分、左端に松岡久善を飛び込ませたトライも、敵陣深くで何度もパスやキャリーを重ねたものだった。
「今取り組んでいる東芝のラグビーを実践している」と小川高廣 共同主将。「横幅いっぱいを使ってフェイズを重ねていくラグビーです」(小川)
この試合まで、レヴズ戦(17-50)、リコー戦(19-66・第3戦)など大差の負けもあった東芝。この試合では自分たちのスタイルを貫くため、クボタの強みでもあるフィジカル戦を意識した。互いに中盤の反則が多く、東芝のトライも、相手反則からのペナルティキックを生かして、ラインアウトからのモールが起点になったものが多かった。加えて東芝は後半、SO松永拓朗らBKがラインを突破してのチャンスも作った。東芝は前半3トライ、後半4トライを挙げてクボタを突き放した。東芝側が意識したコンタクト場面、その後のブレイクダウンで優位に立ったことで、テンポの速いアタックが実った。
「反則の多さは反省点」と東芝・小川 共同主将。「オフサイドなど、自分たちで意識して修正できるなので、今後取り組んでいきたい。若い選手が多く、気持ちが前に前にと向かっていた結果でもあると思う」と笑顔で振り返った。
昨年、初めて4強に入ったクボタも、若手中心のメンバリング。CTBライアン・クロッティらがボールボーイを務める中、昨年までの試合出場時間が少ない選手たちが奮起した。緩急おり混ぜたリードを見せたSO岸岡智樹、クボタ育ちの190センチPRオペティ・ヘル、FL土谷深浩、パスの受け手として光る動きを見せたCTB根塚洸雅など逸材たちのプレーぶりは今後が楽しみ。スコアでは後れを取ったが、選手層の厚さを示した。
クボタのフラン・ルディケ ヘッドコーチは試合後も淡々としていた。
「ターンオーバーからトライを取り切るまでの遂行力、精度が足りなかった。今年私たちが掲げる『NEXT LEVEL』にいくためには、選手の層が必要」。昨年、一昨年と試合経験の少なかった選手たちを起用することが当面の方針だ。プレーの精度は今後の練習でさらに高めていく。
東芝は11月26日に豊田自動織機と、クボタは11月20日に九州電力とのプレシーズンマッチを予定している。