江戸川区陸上競技場で10月31日、東京都花園予選の準決勝4試合がおこなわれた。第2試合では、成蹊が明大中野と対戦し12-7の激闘を制した。決勝進出は、花園出場を果たした2005年以来16年ぶりとなった。
成蹊の指揮を執って34年目、土屋嘉彦監督の笑みがこぼれる。
「明中に勝つことは一つ目標でした。この試合で自分たちの真価が問われる、と話していました」
春には筑波大を卒業した教え子の蓬来直樹コーチが赴任。「FWをよく見てくれていたので、彼の功績が大きい」と選手とともに称えていた。
序盤から明大中野に攻め続けられるも、成蹊は粘った。特にゴール前まで迫られてからの肉弾戦で一歩も引かなかった。
ワンチャンスをものにしたのは前半17分。スクラムからのアタックでFB森田蓮がライン際を走り切り、トライを奪った。
その後も自陣深くでのディフェンスは長く続いたが、SO島谷悠真が自陣から敵陣22㍍ラインを越えるキック(新ルール適用、マイボールラインアウトに)を見せたり、スクラムでもペナルティを奪って、前半を5-0のまま逃げ切った。
土屋監督は「フロントローがみんな100キロあるので、そこは自信を持ってスクラムもやれました」と振り返る。
後半も、6分に交代出場のWTB千葉星爾がトライを決めて以降は、ほとんどがディフェンスの時間。ゴール前でペナルティを重ねながらも、しぶとく粘った。
13分にはその反則の繰り返しでペナルティトライを奪われ、1人少ない人数で戦う時間帯もあったが、なんとか守り切った。一度はインゴールを割られたが、グラウンディングさせずインゴールドロップアウトにするシーンも見られた(新ルール適用)。
「(FWで勝負に)くることは分かっていたので、そこでどれだけ体を張れるかでした。FWがゴール前で粘り強く戦ってくれました」(土屋監督)
そしてロスタイムを大きく越えた後、歓喜の瞬間が訪れた。
決勝は11月14日、江戸川区陸上競技場で國學院久我山とぶつかる(11時半キックオフ)。
土屋監督は「チャレンジャーなので思い残すことのないように、全て出します」と意気込んだ。