ラグビーリパブリック

「僕らしく」を貫く。日本代表新副将、中村亮土の態度。

2021.10.31

ワラビーズ戦で力強く駆け上がる日本代表の中村亮土(撮影:松本かおり)


 この秋から日本代表の副将となった。以前までと状況に変化はあるか。

 オーストラリア代表戦前日の10月22日にそう聞かれ、中村亮土は即答する。

「あんま変わんないです。はい」

 ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ体制となって丸5年を迎えた日本代表は、2019年のワールドカップ日本大会までに組織の仕組みを確立していた。首脳陣が示したプランを複数名のリーダー陣がかみ砕き、適宜ブラッシュアップ。他選手と共有する。

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 中村は副将になる前から、長らくリーダーを任されている。役職が変わっても立場は変わらないようだ。就任発表前にあたる同月1日の時点で、こう述べていた。

「僕らしくありたいというのが一番。リーダーだから、主将をしているからと言って、変な、うわべだけの振る舞い、行動はしたくない。たぶん、プレーにも出ていると思うんですけど、人と人をつなげるとか、コネクションを取っていくことが結構、得意な方。あとは、ちょっとした危機管理能力もある程度は。そこらへんをチームに還元できたらと思っています」

 昭和電工ドーム大分での試合では、タフな組織防御で応戦。後半15分には、自らインターセプトからのトライも決めた。戦前にはこう述べていた。

「こっちにもいい選手が揃っている。僕はワラビーズ(オーストラリア代表)より、日本代表と試合をする方が嫌だと感じます」

 しかし、最後は23-32で敗れた。公式で「14」という反則の多さに泣いた。もともと「いいゲーム(をする)だけじゃなく、勝ち切れるような代表にしたい」と意気込んでいただけに、悔しさはあろう。

 10月29日には欧州へ発ち、アイルランド代表、ポルトガル代表、スコットランド代表とアウェーゲームをする。

 アイルランド代表、スコットランド代表は2019年ワールドカップで下した相手だが、もともとは欧州6強の一角。特にアイルランド代表との直接対決は7月3日にも敵地であり、向こうが主力を欠くなか日本代表は勝ちを逃している。

 その時期のツアーでは、日本代表は6月26日のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦を含め2連敗。リベンジを目指す中村は、欧州勢の力を警戒する。

「欧州のチームで共通して言えるのは…。(日本から見て自陣の)22メートルエリアに入ってきた時の推進力、勢いはいままで以上に感じた。そこをどう止めるかが、今回のツアーの課題になると思います」

 身長181センチ、体重92キロの30歳。一線級のインサイドCTBにあってはやや小柄も、防御時のワークレートや力強いロータックルを長所に代表のレギュラーに定着。今回のツアーでCTBに登録された3名中2名は、アウトサイドCTBを主戦場とする。中村は期待を背負う。

「個人的にはもうひとつステップアップした選手になりたい。アタックの部分はまだまだ成長できる余地がある。ボールキャリアになった時、判断の部分、細かいパス、キック、ランのスキル、フットワーク…。細かい部分をまだまだレベルアップさせたい」

 2023年のワールドカップ・フランス大会を見据え、チームは選手層の拡大を目指す。

 司令塔のSOでは、2019年ワールドカップ時の主力である田村優、オーストラリア代表戦で先発した松田力也の2人が帯同。9月下旬からの国内合宿を前に、藤井雄一郎ナショナルチームディレクターは他ポジションからのコンバートも検討していると語った。

 中村も帝京大時代までにSOを経験しているため、転向の打診を受けても不思議ではなさそう…。報道陣にその旨で聞かれると、当の本人は「どこでもできるよう準備を」としながら「(SO挑戦の話は)全然、ないです」。この秋も国内有数のリンクプレーヤーとして、強豪撃破を目指す。

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