自分たちとの勝負に集中する。
関東大学ラグビーリーグ戦1部で、4連覇を狙う東海大が開幕4連勝。10月31日、埼玉のセナリオハウスフィールド三郷で前年度5位の中大を74-7と圧倒した。
初の大学日本一に向け、木村季由監督は足元を見つめる。
「自分たちに矢印を向けた試合でした。がまん強くやっていたところもありましたが、時間帯によってはほころびも生じた。課題を克服できるよう練習したいです」
今季は初戦から関東学院大、大東大、専大をそれぞれ57-5、42-5、71-0で破っている。
最上級生には1年時からレギュラーとなった主力が多く、突破役と黒子役を兼ねるワイサケ・ララトゥブアら3年生以下も充実。この日は序盤から鋭い出足でゲインラインへ仕掛ける中大が今季2勝目を目指していたなか、向こうのかすかなほころびから着実に加点。徐々に主導権を握る。
7-0で迎えた前半9分には、相手のインゴールドロップアウトをハーフ線付近で確保。WTBの谷口宜顕によるカウンターアタックで、敵陣22メートル線手前中央あたりまで攻め入り、右端に立つ身長190センチ、体重123キロのFL、レキマ・ナサミラが小兵の多い中大防御網を突破。倒されても起き上がり、敵陣22メートルエリアに進む。
その後はしばらく中大も好タックルを重ねたが、東海大はパスと突進を交互におこない球を継続。最後は、LOの小池隆成が左中間で止めを刺す。直後のゴール成功で、14-0とした。
続く16分には、お家芸のセットプレーで魅する。まずは敵陣中盤左中間でスクラムを圧倒する。反則を誘う。まもなく敵陣ゴール前左のラインアウトから、NO8のノア・トビオを軸にモールを組む。HOの土一海人がフィニッシュし、19-0とした。
チームはそれを前後し、計4度、モールでのトライを記録している。ララトゥブアらが軸となったタイトな塊が、防御の薄い箇所を探りながら前進する。
この日、長距離のランによるトライ、攻め込まれながらのジャッカル成功でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた小池は、モールの推進力を支える1人でもある。試合後にこう振り返った。
「(部内のウイルス感染や諸事情により)自粛期間もあり、夏合宿もできなくて、やり切れていなかった部分はありました。ただ、それをもう一回ブラッシュアップして、こだわってやっています。(組みながらの)コミュニケーションは大事にしている。留学生もよくしゃべって、自分たちの前の空いているところを探しています」
48-0と勝負を決めた後半10分以降は、やや停滞した。この日1トライを挙げて守りでも光ったFL、ジョーンズ リチャード剛主将は、こう反省する。
「後半に入った時、自分たちのペースがつかめないまま取れないまま、ペナルティ、ミスを多くしてしまった。後半の集中力、プレーの精度をもうひと段階、上げていきたいです」
ただし残り9分となったタイミングで、オフロードパスを連続から55-0と点差を広げた(トライを決めたのはの左PRの徳田悠人)。その直前には、自陣深くまで攻め込まれながら失点を防いでいる。ここではFLのナサミラが、トライセーブタックルを披露した。
木村監督はこうも話す。
「ディフェンスはかなり時間をかけながらやっています。練習で時間をかけたものは試合のなかでも成果が出てきている。ただ、それにも緩い時間帯がある。ゲームの強度が上がると、そこを突かれてしまいます。緩みのないディフェンスを追求していきたいです」
かたや中大では、右PRの茂原隆由主将がこう悔しがる。
「ミスはしょうがないから、相手にのまれないでいつでも挑戦していこう…。そう臨んだのだが、うまくいかないところで少しのまれていた部分があり、このような結果になってしまった」
勝負の行方が決まりかけた時間帯も、長い距離を駆け戻ってのカバー防御を成立させている。苦しい試合展開を強いられながら、気を吐いてはいた。船頭は続ける。
「自分たちのラグビーをできない時間帯も絶対にある。(白星を挙げた)流経大戦では、そういう時にディフェンスから流れを作ってきた。ディフェンスにも力を入れてやっていきたいと考えております」
リーグ戦は佳境に入った。5勝目を目指す東海大は、11月7日に東京・上柚木公園陸上競技場へ出向き、昨季4位で目下2勝2敗の法大と激突。1勝3敗の中大は同日、同8位で現在未勝利の専大と神奈川県内の敵地でぶつかる。