10月24日、セナリオハウスフィールド三郷で関東大学対抗戦がおこなわれ、明大が筑波大を53-14で破った。9トライを奪う大勝だった。
「今シーズンで一番明治らしい戦いができました」と神鳥裕之監督が語ったこのゲーム。
筑波大も「本当に勝つつもりで準備してきた」と嶋﨑達也監督は言う。
筑波大は開幕から3戦は、慶大に勝利し、帝京大、早大を追い詰めるなど、好調だった。
3戦目の早大戦を終え、明大戦まで2週間空いた。例年は1週間だけだったから、より考える時間を与えられたことになる。その準備期間を利用して、嶋﨑監督は策を練った。
「早稲田との試合が終わって、ディフェンスには手応えがありました。このままディフェンスがしっかりできるという前提があれば、明治との勝負はスクラムになる。(明治は)例年重さを持っているチームなので、そこを止めるために彼らをセレクトしました」(嶋﨑監督)
彼らとは、4番で起用した小山峻哉と19番の内田希門だ。ともに本来のポジションはプロップだが、高校時代にLO経験があった。大学5年目の小山は今季、早大戦でもNO8で途中出場。LOでの起用も構想のひとつとして持っていた。
そこで、それぞれ110㌔、109㌔と重さのある2人をLOで起用し、明大のスクラムに対抗しようと試みた。ただ結果はついてこなかった。「スクラムは健闘してくれましたが、強みのディフェンスで受けてしまった」と嶋﨑監督。
ここまでディフェンスでの貢献が際立っていた171㌢のNO8楢本鼓太朗は、代わりにリザーブに回っていた。「チームとしてのバランスが崩れてしまった」と、大量失点につながったことを悔やんだ。
この日はラインアウトでも、ともに191㌢ある明大の両LO、山本嶺二郎と武内慎の高さに苦戦。「スクラムに比重をかけた分、ジャンパーも少なくなり、ラインアウトもプレッシャーを感じてしまった。僕の判断ミスもあるかもしれない」と嶋﨑監督は肩を落とす。
「全てはディフェンスで止める前提でした。いろんな意見があると思いますが、勝負に出たつもりでした」
今回の強硬策は結果として裏目に出たが、上位校相手に善戦では終わりたくない意思表示でもあった。開幕戦で惜敗した帝京大戦後も、「僕たちはこの手応えを勝利に変えないといけない」と嶋﨑監督は語っていた。
この敗戦を大きな糧にしたい。
昨季の上位4校との対戦を終えた筑波大は次戦、ここまで全敗の青学大と、11月7日に対戦する。
◆明大サイドのリポートは、10月28日発売のラグビーマガジン12月号に掲載しています。そちらも合わせてご確認ください。