全国各ブロックから単独高校チームなどが集結する女子の7人制大会「全国U18女子セブンズ」が、10月23日、24日に熊谷ラグビー場で行なわれた。予選プールと決勝トーナメントの方式を取るこの大会。予選プール1位通過校による「カップトーナメント」では、関東学院六浦が初優勝を遂げた。決勝は第1回、第2回大会覇者の石見智翠館との対戦になり、後半に突き放した関東学院六浦が17-7で勝利を収めた。
優勝の自信はあった、と関東学院六浦・梅原洸監督が試合後に明かした。力はある。問題は、それをどんな状況でも発揮することだった。
大会中はライバルたちとの接戦で力をつけていった。初戦では鳴門渦潮に12-0と苦しむ。プールを1位で通過も、準決勝では、オッペンカップ決勝(8月のオープン大会)のリベンジに燃える佐賀工に0-12と機先を制せられる。連続3トライの逆転(19-12)勝ちで進んだ決勝では、昨年準決勝の雪辱に燃える石見智翠館が待っていた(2020年度準決勝は六浦17-15智翠館)。しかし六浦は強かった。日本代表候補にも選出される矢崎桜子、向來桜子が攻守に活躍。粘るディフェンスから攻める展開で、ロースコアの勝負に持ち込んだ。後半7分に高井瞳のトライで(G成功)17-7と勝負を決めた。
どんな状況でも力を出す。六浦の今年のテーマだった。
準決勝の佐賀工戦では、足に打撲を負っていた向來(こうらい)桜子(大会MVPに選出)をベンチにとどまらせた。エースの欠場。しかし六浦は揺らがなかった。決勝では向來も復帰し、「この時にフィットした選手を起用して」(梅原監督)。やはりこの決勝、この六浦に向けて準備を重ねてきたしぶとい智翠館に競り勝った。
今年、指揮官は、常にメンバーを動かし「全員を育てる」ことを意図してきた。ベストを組むより、メンバーは「縦割り」構成。全員に試合経験を積ませ、さまざまな選手の組み合わせに対応する力をつけてきた。
選手たちも「1人が2つのポジションをこなせること」(松澤ゆりか主将)をタスクに練習してきた。前年決勝、14-34で京都成章に敗れたのは、決勝にベストメンバーで臨めなかったから。どんな状況にも対応できるチームになると決めて1年間、過ごしてきた。
「高1からメンバーに入れてもらい、決勝も3回目。私たちの強みはディフェンスだと思っていて、それがよくできていた」(松澤主将)
「決勝の舞台で、このチームで自分が何をすべきかと言えば、キャリーとタックル。特にディフェンスで貢献したいと思っていた」(向來桜子・大会MVP)
六浦は、柔軟でたくましいチームに成長した。
「選手の実力を発揮させてやること。それが第一でした。ここまで来られてホッとしています」
三度目の正直。梅原監督の目に光るものがあった。