ワラビーズの愛称で知られる世界ランキング3位のオーストラリア代表を苦しめ、最後まで互角の戦いを演じた日本代表だが、惜しくも金星獲得とはならなかった。10月23日、大分県でのビッグチャレンジは、23-32で敗れた。
会場の昭和電工ドーム大分には1万7004人の観客が入り、熱戦に大きな拍手が送られた。
先制したのはオーストラリアだった。
立ち上がりから粘り強いディフェンスをしていた日本だが、前半7分、ゴールドジャージーのプレーメーカーであるSOクウェイド・クーパーが防御網に切り込み、パスをもらったWTBトム・ライトがインゴールに持ち込んだ。
16分にSO松田力也のペナルティゴール(PG)で得点した日本に対し、オーストラリアはさらに22分、敵陣22メートルライン内に入ってアドバンテージを得ると、左から右へすばやくボールを動かし、WTBジョーダン・ペタイアがトライを決めた。
しかし、3-14とされた日本は26分に反撃する。敵陣深くに入ってテンポよく攻撃を繰り返し、SO松田のキックパスを右外で捕球したWTBレメキ ロマノ ラヴァが俊敏な動きでディフェンダーをかわし、インゴールにボールを押さえた。ゴールキッカーの松田は厳しい角度からのコンバージョンをねじ込み、33分にはPGを決め、1点差に詰めた。
それでも、流れを変えたいオーストラリアがハーフタイム前にPGで加点し、13-17、日本は4点ビハインドで折り返した。
後半も先に得点したのはオーストラリアで、42分(後半2分)、敵陣深くに入ってラインアウトからのサインプレーを決め、突進したパワフルなPRタニエラ・トゥポウがトライゲッターとなった。
そして48分、日本に痛い反則が出てしまう。レメキがショルダーチャージでイエローカードを提示され、10分間の退出を命じられた。
すると、数的有利となったオーストラリアは50分、右外を突いて攻め上がり、オフロードパスをもらったSHニック・ホワイトが敵陣深くに蹴ったボールを自ら確保してチャンスとなり、連続攻撃をFLロブ・レオタがフィニッシュした。
14点差をつけられた日本。しかし、食らいついた。副将の中村亮土がいやな流れを変えた。
55分、CTBの中村は相手の長いパスをインターセプトし、ゴールへ駆け抜け会場を沸かす。コンバージョンも決まり、20-27とした。
その数分後、日本はFWがスクラムで押し勝ち、活気づく。その後も、南半球4か国対抗戦で2019年ワールドカップ王者の南アフリカに連勝し2位となったオーストラリアを相手に、勇敢に挑んで互角に渡り合った。
そして73分、日本はブレイクダウンで激しくファイトし、PGチャンスをつかむ。後半途中から入っていたSO田村優が45メートル超のPGを決め、1トライで逆転となる4点差に詰めた。
しかし、オーストラリアも意地を見せ、78分、敵陣深くに入ると、ラインアウトからモールを組んで前進し、貴重な5点を獲得。これで勝負は決まり、日本は惜しくも敗れた。
日本は次週からヨーロッパへ遠征し、アイルランド代表戦(11月6日/ダブリン)、ポルトガル代表戦(11月13日/コインブラ)、スコットランド代表戦(11月20日/エディンバラ)に臨む。