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2年ぶりの日本代表戦 流大が忘れたくない「ラグビーを楽しむ気持ち」

2021.10.23

試合前日に最終調整する日本代表SHの流大(写真提供:日本ラグビーフットボール協会)


 2年ぶりの代表戦で強豪とぶつかる。

「先発で出ることには、チームを勝たせないといけないという責任もある。覚悟を持ってやる。コーチ陣の期待に応えたい気持ちもあります」

 10月23日、昭和電工ドーム大分。この秋ラグビー日本代表に復帰した流大が、世界ランクで7つ上のオーストラリア代表との一戦にSHで先発する。

 今夏に約1年8か月ぶりに組まれたツアーは、心身の疲労のため辞退していた。今回、桜のジャージィを着るのは、8強入りしたワールドカップ日本大会以来となる。

「(今回の代表帯同は)久しぶりだったので、前のことも少し覚えてなくて…。新しい気持ちで臨みました。新しく入ってきた選手には力がありますし、前からいた選手とのバランスが取れている。いいチームになっているなという印象があります」

 以前から少し血の入れ替わった日本代表をこう見ているとし、決意を新たにする。

「相手のワラビーズ(オーストラリア代表)もいい調子で来ていますが、日本も短い期間ではあるもののいい準備ができている。勝つことを最優先に、いいプレーをしていきたい。ただ、それで硬くなってもしょうがない。ラグビーを楽しむ気持ち(を忘れず)、国内で代表戦ができることを楽しみ、頑張っていきたいです」

 身長166センチ、体重75キロの29歳。帝京大では主将を務め、最後は9まで伸ばす大学選手権の連覇記録を6に更新した。サントリーでは入部2年目から4シーズン、主将を務め、初年度から2季続けてトップリーグ王者となっている。2019年ワールドカップまでは、ナショナルチームのリーダー格でもあった。

 パスの供給源たるSHとしては、無形の力を示す。

「僕の良さって、周りに伝わりにくいところがあると思うんです。僕自身もそれを望んでいるというか…。他の選手が、僕がいることによって助かっている、と思っていてくれれば」

 かねてこう話していたように、今度の大一番でもまずは安全運転を心がける。事前に練ったシステムを運用し、連係を円滑化する。

「僕がやることは、声を出してチームを束ねること、(ぶつかり合いの多い)FWを動かすこと、ゲームプランを遂行すること。それで勝利に貢献したいです。日本はやるべきなのは速いラグビーなので、その速さを引っ張る。あとは、どのエリア(陣地)で戦うかを理解し、正しいエリアで戦う」

 SHとタッグを組むSOのスターターには、松田力也が入る。今夏のツアーまでずっとスコッドに入りながら、何度も田村優に先発を譲ってきた27歳だ。

 流は、帝京大の後輩でもある松田のよさを「ランニング。思い切りの良さ」と捉える。今回の組み合わせを踏まえ、こうも続ける。

「FW周りのこと(立ち位置のコントロールなど)については僕がコミュニケーションを取って、力也がその辺に気を遣わなくていいようにする。そうすれば、自信を持ってプレーしてくれる。力也とは毎日、『チームがこういう状況に陥ったらこういう判断にしよう』という話までしてきています。あとは、きょうのランチ後にコーヒーでも飲みながら少しだけ確認しようかな…というくらいです。長年、やってきているので、お互いのやりたいことやプレーはわかっている。自信を持って、コミュニケーションを取ってやれば問題ないです」

 21日に発表されたメンバーのうち、控えに入っていたリーチ マイケル前主将は故障のため外れた。しかし流は、「(リーチの離脱は)残念ではありますが、影響はないと思います」。リーダーシップを取れる選手が多くいて、穴を埋めるのが2019年ワールドカップ組の德永祥尭であるのを根拠に挙げる。

 楽しむ。自信を持つ。前向きでいる。現代アスリートらしい決意を明かし、当日を待つ。


▼日本代表 豪州戦 試合登録メンバー(19番は負傷のリーチ マイケルに替わり德永祥尭)
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