ラグビーリパブリック

いざワラビーズ戦へ。2021年秋のジャパンの注目ポイントを総チェック! 【10月23日 J SPORTSで生中継&LIVE配信!】

2021.10.20

10・23オーストラリア戦に向け合宿で準備を進める日本代表。実戦形式の練習で突進する姫野(撮影/松本かおり)

日本中を熱狂させた2019年のラグビーワールドカップ以来、実に2年ぶりに国内でのテストマッチを戦う日本代表。対戦相手のオーストラリア代表ワラビーズは、今年8月から10月にかけて行われた南半球4か国対抗『ザ・ラグビーチャンピオンシップ』で南アフリカに連勝するなど調子を上げており、10月23日の大分での激突は、世界のラグビーファンが注目する一戦となる。2年後に迫ったワールドカップフランス大会に向け大きな一歩を踏み出す新生ジェイミー・ジャパンの注目ポイントを、さまざまな角度からチェックする。

注目はトンプソン、福岡が抜けたLOとWTB。国際舞台で真価が試される

昭和電工ドーム大分で開催されるオーストラリア戦に向けた日本代表37名が、10月11日に発表された(その後FL長谷川崚太がケガで離脱し、FL小澤直輝とFB野口竜司が追加招集され38名に)。その顔ぶれを見ると、2019年のラグビーワールドカップから引き続き選出されたのはFW10人、BKが8人。FLリーチ マイケルを筆頭に、新キャプテンに指名されたFLピーター・ラブスカフニや副キャプテンに就任したCTB中村亮土、PR稲垣啓太、NO8姫野和樹、SO田村優ら2019年のリーダーグループメンバーを軸に据えつつ、新しい戦力を加えてスケールアップを図ろうという首脳陣の狙いが見てとれる。

新リーダーに就いたラブスカフニ。「今までで一番のキャプテンに」と意気込む(撮影/松本かおり)

ポジション別に照らし合わせれば、HOとLO、WTBがもっとも入れ替わりが大きかった。HOは堀江翔太が充電期間として代表から外れ、LOではトンプソン ルーク、WTBでは福岡堅樹と、絶対的だった主軸が現役を引退。後任の座を巡ってさまざまな特長を持つ実力者が熾烈なポジション争いを繰り広げており、誰がどのように起用されるのかは、この秋の大きな見どころのひとつとなる。

今夏のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦とアイルランド戦では、HOは堀越康介、LOはジャック・コーネルセンがリザーブから出場機会をつかみ、WTBではシオサイア・フィフィタとセミシ・マシレワが先発を果たした。今回はHO庭井祐輔が代表に復帰し、LOでは最長身(197センチ)のリアキ・モリ、WTBでは髙橋汰地、ジョネ・ナイカブラ、中野将伍とノンキャップのニューフェイスがチャンスをうかがう。現在世界ランキング3位の強豪オーストラリアとの真剣勝負は、国際舞台でどこまで持ち味を発揮できるかを見極める絶好の試金石となる。

新たな武器として期待されるタタフ、ライリー。復帰のSH流の経験も強みに

夏の欧州遠征で猛アピールしたタタフ。強烈な突破力はジャパンの新たな武器になる(撮影/松本かおり)

今季ジャパン入りしたニューカマーのうち、夏のヨーロッパ遠征でもっとも鮮烈なインパクトを残したのはNO8テビタ・タタフだ。ライオンズやアイルランドの世界的プレーヤーたちをなぎ倒してゲインする圧巻の推進力は、ジャパンの新たな武器になることを確信させた。

ラブスカフニ、リーチ、姫野のシニアメンバーに加え、2019年組のひとりである德永祥尭、夏のツアーでは出番のなかったベン・ガンター、ディベロップメント・スコッドから抜擢された最年少22歳の福井翔大ら、バックローには個性的な強みを有する名手がひしめく。先発、バックアップと、誰をどのような組み合わせで起用するかは、興味をかき立てられる点だ。安定感あるハードワーカーが序盤から体を張って試合を作り、疲れが出てくるラスト20分で爆発力あるタタフを投入――となれば、相手にとっては脅威だろう。

BKでは、SH流大が2019年ワールドカップ以来2年ぶりに代表に復帰した。サントリーのチームメイトである齋藤直人がライオンズ戦、アイルランド戦で確かな実力を示しただけに、出身地の九州で迎える今回のオーストラリア戦は期するものがあるはず。ワールドカップの経験から得たものを存分に披露して、チームをリードしてほしい。

また初選出メンバーで大きな期待を受けているのが、CTBディラン・ライリーだ。187センチ、102キロのサイズにスキルとスピードを兼ね備えた24歳で、3年居住の代表資格を満たす前の春の段階で強化合宿に招集されたことからも、首脳陣の期待の高さはうかがえる。晴れて資格を取得し代表入りした今回、母国オーストラリアを相手にテストマッチデビューを果たすことになれば、注目必至だ。

2019年をベースに、2023年フランスW杯へ向け力強い一歩を踏み出す

首脳陣から資格取得を待望されてきたライリー。スピードあるランが魅力(撮影/松本かおり)

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチやトニー・ブラウン、スコット・ハンセン、長谷川慎の各アシスタントコーチをはじめ、コーチングスタッフは2019年ワールドカップ時とほぼ同じとあって、基本的なチームづくりの手法や戦い方は、成功を収めてきたこれまでのスタイルを踏襲することになるだろう。クイックテンポで小刻みにボールを動かすジャパン独自のアタックの威力は、今夏のライオンズ戦とアイルランド戦でもあらためて証明された。1年8か月ぶりの国際試合ながら世界最高峰のフィジカリティを誇る相手と対等に戦えたことも、日本ラグビーのスタンダード向上を如実に表している。

その上でなお、選手たちがさらなる高みを見つめているのも心強い。NO8姫野が「これまでならアイルランドといい試合をしたら満足していたけれど、今は負けたままでは終わらないという気持ちが強い」と語れば、CTB中村は「新しいものを取り入れつつ、より進歩したスタイルを見せられるよう取り組んでいるので、期待してほしい」と手応えを口にする。ワールドカップでベスト8進出を果たした2019年のチームをベースに、新しく加わった戦力の強みを肉づけし、「世界でもっともエキサイティング」と評されるスピーディーなラグビーに磨きがかかれば、どんなゲームを表現できるのか。楽しみはふくらむ。

過去2回のワールドカップ優勝を誇るワラビーズであっても、今のジャパンにとっては十分に勝利をイメージできるターゲットだ。久しぶりにホームの大声援を受け戦う大一番で凱歌をとどろかせて、2年後のワールドカップフランス大会に向け力強い一歩を踏み出してほしい。

「日本 vs. オーストラリア」
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