チームは生き物だ。
10月が3度目の週末を迎えると、関東大学ラグビーリーグ戦1部は3週目に突入する。
昨季4位の法大は、2週目で同7位の関東学大に17―20で敗戦。同じ週には、昨季5位の中大が2週目で昨季2位の流経大を42―22で破っている。
16日はその両軍が激突(場所は非公開)。傍目には中大の健闘が期待されそうだったが、勝ったのは法大だった。40―13。駒井孝行監督はこうだ。
「学生たちがいまできることを工夫してやっている。最後まで諦めず、頑張っていきます」
中大は、局所的に持ち味を発揮した。前半8分に0―7と先制されながら、鋭い出足のタックルで向こうのパスを乱す。
陣地の獲り合いでも、SOの津田寛汰らの長距離砲で優位に立つ。12分には相手のインゴールドロップアウトを敵陣中盤で捕り、フェーズを重ねて反則を誘う。津田のペナルティーゴールで7—3と迫る。キックと防御のよさは、26分に7—6と追い上げるまで保った。
しかしそれ以降は、自陣での反則、攻め込んでからのミスが重なる。
対する法大は32、38分、ペナルティーキックを得る。1本目では後のプレーヤー・オブ・ザ・マッチの石岡玲英がショットを決め、2本目では敵陣ゴール前右のラインアウトからモールを押し込む。17―6と突き放しにかかる。
ハーフタイム直前には、序盤に優勢を保ったスクラムを押し込み右へ展開。FBの石岡が防御を切り裂き、最後はWTBの坂田龍之介のトライなどで24―6とリードを広げた。
NO8の大澤蓮主将は、「関東学大戦から、ディフェンスでの立ち位置、1人で相手を倒すところ(1対1のタックル)を修正。点を取れる時に点を取るようにも意識しました」。相手ボールの接点への働きかけ、ルーズボールへの反応でも魅せた。
さらに後半4、6分の石岡の連続ペナルティーゴール成功で、30―6と安全圏に突入。33—13と20点リードで迎えた試合終盤も、粘りに粘る。
後半28分頃。中大が敵陣22メートル線エリア中央でスクラムを組む。フリーキックを得る。速攻。SHの池田叡司がインゴールを割ろうとする。そこで、法大のSHを担う山脇一真らがグラウンディングを防ぐ。
法大は続く33分頃にも、自陣ゴール前でのぶつかり合いで身体を張る。LOの竹部力がカウンターラック。中大の反則を誘い、傾きかけた流れを食い止める。
大澤主将の述懐。
「(ピンチの場面では)ノーペナルティという(反則をしないよう促す)声、仲間に気持ちを入れるような声をかけていました」
そして後半ロスタイム46分、竹部のトライなどでだめを押す。
中大の松田雄監督が「先週の流経大戦で得た自信をキープしようと思って挑みましたが、法大さんは開始10分から勝ちたい気持ちを出していて、中大は最後まで建て直せなかった」と悔やむ傍ら、津田もうなだれた。
「自分たちのミスや反則で自陣に入られ、相手に点数を重ねられた。(終盤は)先週にできたアタックがなかなかできず、自分たちでパニックになってしまいました」
勝った法大はこれで2勝1敗となった。この日は関東学大戦から先発を4名、入れ替え、中大陣営に「気迫があった」と言わしめていた。控えから先発に昇格した1人が、防御で奮闘したSHの山脇一真。球さばきでも光った。駒井監督は補足する。
「前回はリズムが悪かった。今回はテンポを上げようと思い、ハーフ団(SOを含む司令塔団)を代えました」
8月には新型コロナウイルスの感染者が出たため、長らく活動自粛。リーグ戦の開幕が予定より2週間、後ろ倒しとなったなか、大澤主将は前を向く。
「夏合宿はおこなえなかったですが、春にやってきたシンプルなアタック、スクラム、ブレイクダウン(接点)を成長させる」
30日には埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で、前年度6位の大東大とぶつかる。リーダーは続ける。
「私生活もプレーに関わるので、過ごし方(を整える)。海外出身選手がいる大東大さんに対して、自分たちがどう前に出るかの戦略を練って、次もいいゲームを作りたいです」
1勝2敗となった中大も、同じ会場で次戦を実施。31日、4連覇を狙う東海大に挑む。津田は前を向く。
「まずチームとして課題を分析し、それをグラウンドでひとつひとつ修正していく。そうすれば今回に見られた小さな差がなくなっていく」
松田監督のもと練習を取り仕切る遠藤哲ヘッドコーチもまた、ここからが本当の勝負と言いたげだった。