後半40分。関西学院大、FB奥谷友規のペナルティゴールが決まる。
22-20。これで決着はついたかに思われた。
だが直後のアナウンスでロスタイムは5分と告げられる。
天理親里競技場に駆けつけた896人の観客がどよめいた。
リードが6度も入れ替わる激しい攻防に、決着をつけたのは関西大だった。
後半44分。WTB垣本大誠がライン際を走り、オフロードパス。サポートしていたLO栗本勘司が受け取り、インゴールに飛び込んだ――。
10月16日、関西学大と関大の伝統の一戦「関関戦」が行われ、関大が27-22で接戦を制した。関大のAリーグでの勝利は2017年の最終戦、摂南大戦以来だった。
4年生にとっては初のAリーグでの勝利。試合直後には、多くの選手が嬉し涙を流した。
ゲームキャプテンを務めたSO高桑基生は「ただの勝ちではない」と選手全員の思いを代弁する。
「入部してから4年間、Aでは勝つことができていなかった中での一勝。個人としてもとても嬉しいことですし、チームとしても新たなスタートラインに立てた」
開幕から同志社大、天理大に敗れて迎えたこの一戦。
高桑ゲーム主将は「負けから得た収穫が非常に大きかった。それを結果として出せたと思う」と語る。
同志社戦ではブレイクダウンで圧倒され、天理大では外側のディフェンスに課題が出た。それが修正できていたと、森拓郎監督は言う。
前半は関学優位でゲームが進むも、ディフェンスで粘り続けて7-12で食らいつく。迎えた後半は27分までにPG2本で逆転(13-12)。ここから互いにブレイクダウンで簡単にペナルティを重ね、自陣での相手アタックを許した。
関西学大は逆転された直後の30分にモールで逆転(19-13)。関大も37分に12人のモールで押し込んで再逆転(20-19)。そして冒頭の展開へつながった。
決勝トライを挙げて、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた4年生のLO栗本は、「最後のトライは出ていた15人だけではなくて、部員全員の熱い思いでつないだトライだった」と満面の笑みを浮かべる。
高桑ゲーム主将も「これからの関大に期待してほしい」と最後まで笑顔だった。