ラグビーリパブリック

わかり合うふたり。チーム愛も。桑山兄弟(東芝ブレイブルーパス東京)

2021.10.11

弟・桑山淳生(左)と兄・聖生。(撮影/松本かおり)

オフロードパスを出す桑山聖生(184cm、95kg)。昨季はWTB、FBでプレー。(撮影/松本かおり)
先発出場増を目指す桑山淳生(183cm、92kg)。思い切りのいいランが魅力。(撮影/松本かおり)



 兄が15番で弟が14番。
 10月2日におこなわれた東芝ブレイブルーパス東京×静岡ブルーレヴズのプレシーズンマッチで桑山兄弟がバックスリーに顔を並べた。

 兄・聖生(としき)はFBの位置でチーム全体を動かし、弟・淳生(あつき)はWTBで強気の走りを見せた。
 同チームにとっての今季初めてのプレシーズンマッチは17−50(前半5−26)と敗れるも、実戦を通してこそ得られるものがある。3か月後のリーグワン開幕へ向けて、トライ&エラーが繰り返される。

 1歳違いのふたりは、同じ道を歩んできた。
 鹿児島オールブラックスでラグビーを始め、鹿児島実、早大で大きな舞台も踏む。ふたり揃ってピッチに立ったことは何度もある(昨季も5試合に同時出場)。

「(兄弟で)言いやすいので、好きなこと言って、お互いの感覚をすり合わせている」と話す兄にとって、弟はよき理解者だ。
「プレーの要求や、こうしてほしい、こうした方がいいね、と伝え合います」

 もともとコミュニケーション力の高い弟も、「ボールのもらい方とか、(パスして)ほしい位置に関して、他の人よりも分かり合えているとは思う」と言う。

 その淳生はブルーレヴズ戦の序盤、防御を突破した。その後のトライを呼ぶ好走だった。
「スペースに対して仕掛けることは普段から得意としています。それを(プレシーズンマッチの)1試合目からできたのはよかった」と笑顔を見せた。

 ブレイブルーパス3年目となる兄は、昨季6試合に出場し(すべて先発)、中堅の自覚も芽生え始めている。
 敗戦に終わった試合について、「個人的には試合勘が足りなかった」と体感を口にした。
 チーム全体にも目を向け、「特に前半はブレイクダウンの激しさが足りなかった。試合を通して戦い続けることが大事」と反省する。

「いちばん外にいるからグラウンドを広く見られる。その分、FW、BKの立ち位置をコントロールできるのに、そこがまだ足りなかった」と弟も自分に矢印を向けた。
 チームはディフェンスに力を入れて準備を進めている。「外からディフェンスラインをコントロールするために、もっとコミュニケーションをとる」と意識を強くする。

 ふたり揃ってブレイブルーパスに加わったのは、もともと愛着があったことも理由の一つだ。
「(東芝が)鹿児島で合宿をしていたこともあり、幼い頃から憧れていたチーム」と兄は言う。
「採用の望月さんに声をかけていただき決めました」

 弟も以前から愛着があった。そして、このチームが自分の夢に近づける場所と思ったから決めた。
「兄とは高校、大学、そしていまも同じチームですが、追ったわけではありません。自分なりの目標があり、それを達成するために選んだところが、結果として同じでした」

 ふたりで頂点に立てたら最高だ。弟・淳生はルーキーイヤーだった昨季6試合(先発は2試合)に出場。今季は、さらに出場機会を増やしたい。
 兄が言う。
「長くラグビーをやらせてもらっていますから、一緒にピッチに立ち、結果を残せたら親孝行にもなりますね」

 鹿児島弁で話すのは、ふたり一緒に地元に戻ったときぐらい。
「大学時代をあっちで過ごしたハヤタさん(SO中尾隼太/鹿児島大卒)の方が、イントネーションとか、訛っています」と口を揃える。

 兄は、弟のことを「強気。やってきたことにどんどんチャレンジする。それが結果を呼ぶ」と話す。
「自分なりの考えがある中で、言われたことをやり切れるメンタリティーは尊敬します」と、弟は兄を見つめる。
 高め合うふたりがリーグワン元年で揃って暴れるなら、府中の街も鹿児島も沸く。

Exit mobile version