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【関東大学リーグ戦1部】日大、パワフルに押し切る。防御の意識高まった大東大も完勝

2021.09.27

豪快に前に出る日大HO井上風雅。3トライでプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。(撮影/松本かおり)

中大もよく体を張った。写真はLO山﨑祥希。(撮影/松本かおり)
大東大CTB戸野部謙。後半5分のトライ(写真)に加え3G1PG。(撮影/松本かおり)
ダイナミックラグビーを実践できなかった流経大。(撮影/松本かおり)



 個々のキャラが立っていておもしろい。
 9月26日、関東大学リーグ戦1部が開幕し、熊谷ラグビー場Bでは2試合がおこなわれた。
 1試合目は日大が中大に50-22のスコアで勝ち、2試合目は大東大が流経大に29-7と快勝した。

 日大は、持ち前のパワフルさを序盤から発揮し、前半だけで5トライ。31-3のスコアでハーフタイムを迎え、勝負を決めた。

 今季、FLからHOに転向した2年生の井上風雅が好パフォーマンスを見せ、チームを勢いづけた。7分、19分、23分とトライを挙げた。
 すべて『PKからタッチ(前進)→ラインアウト』の流れ。塊になって前進するモールの最後尾で舵をとった。

 中でも2つ目のトライは、この人の持ち味が色濃く出るものだった。
 このときはモールが崩れたと見るや、すぐに右に持ち出した。タックルを受けても相手を弾き飛ばし、すぐに立ち上がる。そして、また前進。いっきにトライラインを越えた。

 プレーヤー・オブ・ザ・マッチにも選ばれた170センチ、95キロの2番について中野克己監督は「彼らしいプレーを出してくれた」と評価し、次戦に向け、「次は前半だけでなく、後半も活躍してほしい」と期待を寄せた。
 FL飯田光紀主将も「風雅が前に出てアタックのリズムを作ってくれた」と話し、チームに勢いを与えた後輩のプレーに目を細めた。

 敗れたとはいえ、中大も潜在能力を随所に見せた。
 結果的にパワーに押し切られたが、前へ出る防御で相手に圧力をかけた。反則で攻め入られる機会を作ってしまったが、自分たちのスタイルを持っていた。

 アタック面を見ても、強気のランで何度も防御を突破したFB杉本崇馬など、局面を変える力を持つ選手たちがいた。
 途中出場のCTB水野陸も、その一人だ。
 188センチ、123キロのPR茂原隆由主将も愚直なプレーと重いタックルで体を張った。同主将は「スクラムで押せたものもあった」と話し、「もっと意志を強く示して戦っていきたい」と、今後への思いを口にした。

 2試合目で快勝した大東大は、後半37分まで29-0と相手に得点を許さなかった。
 コロナ禍の影響で夏合宿を実施できず、準備期間に実戦経験を積むこともできなかった。しかし、春から力を入れたディフェンスがチームに安定感をもたらしていた。

 先制点は前半6分だった。
 大東大はスクラムからNO8リサラ・キシラ・フィナウが前へ出る。ラックから出たボールをSO落和史が大きく逆サイドへ振った。
 WTB松田武蔵が好走。流経大ゴールラインに迫った。そして、ラックから持ち出したSH稲葉聖馬がインゴールへ入る。個々の長所が重なり合ったトライだった。

 前半39分にもボールをワイドに動かしてトライ(LO塩見成梧)を奪った大東大は、17-0としてハーフタイムに入った。
 後半4分には相手のキックボールを受けてカウンター攻撃。CTB戸野部謙が左サイドを走り切ってインゴールに入り、勝負を決めた(ゴールも決まり24-0)。
 運動量で相手を上回った。

 HO酒木凜平主将は、チーム内にあった空気をこう話した。
「一人ひとりから声が出ていました。僕がラインアウトでミスして相手ボールになった時も、FW、BK全員で守り、すごくいい雰囲気だった」
 キャプテンは、仲間のエナジーを感じながらピッチに立っていた。

 タックラーがすぐに立ち上がる。セカンドマンがすぐに駆け寄る。
 アウトサイドで何度か見られたターンオーバーは、意識とフィットネスの高まりがあってこそのものだ。
 主将は、「やれる力はあると思っていた。それを実戦で確かめることができて自信になった」と笑った。

 流経大はコロナ禍による準備不足が露わになった。掲げるダイナミックラグビーを体現できなかった。
 特に外への動き、切り返しの動きに反応が遅れた。
 ゲームキャプテンを務めたFB河野竣太は、「立ってプレーできなかった。強いコンタクトからのオフロードパスでつなぎたかったが、準備が足りなかった」と悔やみ、公式戦を戦いながら強くなっていくことを誓った。

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