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東海大57―5関東学大。リーグ戦4連覇目指し初戦を快勝。強烈なタックルと集中力光る。

2021.09.26

昨年は不戦敗がありながらリーグ戦グループ3連覇を果たした東海大。今年も初戦を大勝で突破(撮影:髙塩 隆)

東海大W司令塔の一人、背番号12をつけた丸山凜太朗(撮影:髙塩 隆)
関東学大は、積み上げた練習の成果を出しきれなかった(撮影:髙塩 隆)
東海大CTB13伊藤峻祐は桐蔭学園出身、3年生になった。178センチ、88キロ(撮影:髙塩 隆)

 傘をさす子どもたちはスタンドの外にいた。

 神奈川・小田原城山競技場での関東大学リーグ戦1部の開幕節は、無観客開催となった。坂の上で戦況を見つめる少年のお手本となった回数は、4連覇を狙う東海大の方が多かったか。

 57―5。前年度8チーム中7位の関東学大を圧倒する。雨に見舞われながら、強力なセットプレーと激しい防御、何より好機をものにする集中力で際立った。勝った木村季由監督は、この日の収穫と課題をまとめた。

「敵陣で試合ができず苦しい時間帯もありましたが、我慢強くプレーしていた点はきょうのなかではよかった。相手のミスをスコアに繋げられたことで、少しゲームの点差スコアを広げられた。なかなか形で獲りきる場面(用意されたプレーでの得点)がまだまだ足りないので、そこは修正していかなくてはいけないです」

 キックオフ早々、自陣10メートル線エリア左のスクラムで関東学大の反則を誘う。敵陣22メートル線付近に進むと、ラインアウトから左右に振ってSOの武藤ゆらぎがラインブレイク。左大外へ余っていたFLのオフィナ・アフがフィニッシュし、直後のゴール成功で7―0とする。これが快勝劇の始まりとなった。

 関東学大には川崎清純がいる。身長191センチ、体重102キロ。7人制日本代表への選出経験がある大型FBは、副将としてラストイヤーに賭ける。

 先制されて迎えた前半5分には自陣から相手の頭を超えるロングキックを放ち、今季から採用される「50:22ルール」に伴い敵陣ゴール前左でのラインアウトを獲得。24点差を追う前半28分には、敵陣中盤から駆け上がって1人、2人とタックラーをかわし、3人目を引き付け片手でオフロードパスを放つ。

 しかし、いずれの場面でも得点は奪えなかった。

 前者のシーンでは、ラインアウトからの攻撃でインターセプトを喰らった。

 後者の瞬間は、川崎のパスをもらった走者が東海大FLのジョーンズリチャード剛主将にハードタックルをお見舞いされた。この時のリチャードが決めたような一撃は、別の局面でも東海大のFW陣によって放たれたもの。アフ、LOのワイサケ・ララトゥブア、NO8のノア・トビオが鈍い音を鳴らした。

 向こうの好守でチャンスを逃していた関東学大に対し、東海大は拾ったチャンスを効率よく活かしてきた。

 さかのぼって25分には、関東学大のSHだった三輪悠真主将によるボックスキックの弾道を確認。想定よりも手前で落ちたであろうそのボールを、LOの小池隆成が拾い上げる。左をサポートしていたララトゥブアが、防御を軽快に切り裂く。ボールはCTBの伊藤峻祐を経由し、WTBの谷口宜顕に渡る。チーム4本目のトライが生まれた。

 勝者はお家芸のスクラム、モールからも加点し、陣営が「圧力を受ける画面もあった」と振り返る後半も26得点とペースを握った。敗れた三輪に、こう言わしめるのだった。

「(自身は)初戦とあって緊張もありましたし、東海大さんの流れを断ち切ろうという気持ちが焦り、ミスに繋がって、得点されてしまった。落ち着いてプレーしなくてはいけないと思います。敵陣に入るチャンスが少ないなか、チャンスで取り切れなかったのは自分たちの甘さです」

 リーグ戦のスタートは当初より約2週間、遅れた。予定されていた初戦が10月中旬の休息週に回るとあり、各クラブとも過密日程下で競い合う。

 関東学大は10月9日、法大との未勝利同士での合戦を神奈川・関東学大グラウンドで実施。かたや初の大学日本一も視野に入れる東海大は、同日、神奈川・東海大グラウンドで大東大へ開幕2連勝を争う。

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