今季の同志社はブレイクダウンが良い。
先発15人中、9人もの選手がヘッドキャップをつけているのはそのあらわれか。
いや、偶然か。
9月18日、宝が池。台風で開催が危ぶまれた関西大学リーグの開幕戦が無事に行われた。BKに豊富なタレントを揃える同志社大は、関大に75-8で完勝した。
同志社大は前後半で11トライを奪った。うち、先制トライを挙げたFB山口楓斗とWTB和田悠一郎の4年生コンビが5トライを挙げた。
外側のプレーヤーの活躍を際立たせたのは、伊藤紀晶監督が就任した昨季より取り組むブレイクダウンの強さだ。
PR山本敦輝、LO南光希共同主将、FL梁本旺義らFW陣が強烈なタックルとキャリーで少しでも前に出る。テンポの速いアタックを可能にさせた。
この日、BKで光る動きを見せたのが、秋の公式戦初先発となったCTB西村海音だ。
PGを決められ、7-3とされた前半12分。ラインアウトを起点に、もう一人のCTB、大森広太郎のトライを西村がオフロードパスで完璧にアシストする。
その後も西村がスペースにうまく入り、オフロードでつなぐ、似たようなシーンが続いた。
前半だけで5トライを奪い、35-3で折り返した後半も同志社大は手を緩めなかった。
1分から大森が2トライ目を記録すると、後半18分に再び西村が見せる。裏へのゴロパントでWTB和田悠一郎のトライを引き出した。
結局後半にも6トライを加えた同志社大が75-8の大勝。西村はプレイヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれた。
西村は「(POMは)初めてなので素直に嬉しい」と喜び、「秋のスタメンは初だったけど、春に出ることができていたのであまり緊張せずに、いつも通りのプレーができました」と話した。
西村は春の関西春季トーナメントは3試合すべてに先発。決勝の天理大戦以外はSOでの出場だった。「エリアマネジメントを考えてプレーができた。オフロードパスはこの春しっかり練習してきた」と話し、「ゲインにつながったのは良かった」と続けた。
関大も序盤と終盤は高いパフォーマンスを発揮した。
先制トライを奪われる前までは関大のペースだった。FL千原拓真のビッグタックルからターンオーバーを決め、CTB藤原悠がゴール前まで持っていく。つないで味方がインゴールまで入るも、同志社大SO嘉納一千がグラウンディングさせず。これが痛かった。
直後にFB山口に約90㍍走られ、「7-0」のスコアを逆にされた。
終盤にはゴール前で相手のモール、ピックを防ぎ、それまで押されていたスクラムで押し返した。モールでトライも奪った。
関大は春にも同志社大と対戦し、19-70で敗れている。セットプレーが大きな敗因だった。この日のゲームはその課題を克服した形に映る。
「春はセットプレーからやりたいラグビーができなかった。そこで戦えるように準備してきて、なんとか良くなってきたように思う。展開するところでブレイクダウンのプレッシャーが強く、点に結びつかなかったのは残念ですが、今後につながるゲームだった」
新指揮官の森拓郎監督は前を向いた。春とスコアこそ変わらなかったが、取り組みの手応えは掴んだ。