早大は、開幕戦のテーマを「ファースト」に定め試合に臨んだ。
大田尾竜彦新監督が、その狙いを話した。
「開幕戦というものはどんなカテゴリーでも緊張するもの。先手を取り続けることが大事だと思ったので、そうしました」
9月12日から始まった関東大学対抗戦Aのシーズン。熊谷ラグビー場での第2試合に登場した早大は、立大に70-0と大勝した。
先発に名を連ねたPR亀山昇太郎(茗溪学園)、NO8佐藤健次(桐蔭学園)、SH宮尾昌典(京都成章)のルーキーたちも躍動した。
頭に描いた通りの試合展開を現実のものとした。
赤黒のジャージーが最初にインゴールに入ったのは午後3時のキックオフ直後。相手のキックを受けて攻撃に転じ、WTB槇瑛人が好走する。サポートのSH宮尾がパスを受けて走り切った(SO吉村紘のGも決まり7-0)。
9分にも、槇はいい仕事をした。
相手の蹴ったフリーキックを受けて始まった攻撃の途中、アウトサイドでパスをもらうとスピードで抜き、ディフェンダーを置き去りにした(吉村のGも決まり、14-0)。
早大は、その後も攻撃の手を緩めなかった。
直後、FB河瀬諒介の突破、SH宮尾の好サポートで得たチャンスは仕留めきれなかったが、相手が手放したボールを休まず攻めた。
またも槇がトライラインを越える。12分で19-0として、試合前に定めた通りに試合を運んだ。
前半だけで7トライを奪い41-0。後半途中に得点が停滞した時間帯もあったが、終盤にふたたび攻めて5トライ、29-0。
ファイナルスコアは70-0と、勝者はハイテンポで攻め続けた。
それでも満足はしていない。CTB長田智希主将は、「ボールの動かし方、(攻めの)形は作ることができたが、コミュニケーションやブレイクダウンでのボールのリサイクルの質などが、まだ思うようなものではない」と話した。
「日本一になるには、まだまだ足りないと全員が感じたはず」と辛めの自己採点をした。
立大はコロナ禍で夏合宿も実施できず、万全ではない状況だった。
1対1で止めきれず、終盤はフィットネスで上回られた。
しかしPR麻生典宏主将は、前を向いた。
「ポジショニングのセット(スピード)で相手の方がはやく、守れなかった。この日のスクラムで勝つ準備をしてきたが、それもうまくできなかった」
しかし、「まだ6試合ある。課題を修正して3勝し、大学選手権に出たい」と続けた。
大勝に慢心せず。完敗にも下を向かず。
シーズンが無事に開幕した喜びを感じつつ、すべてのチームが成長を続ける。