2021年の大学ラグビーもきっと面白い。そう思わせてくれる80分だった。
関東大学対抗戦Aの開幕戦が9月12日に行われ、帝京大が筑波大との接戦を17―7で制した。
コロナ禍で迎える2年目の大学ラグビー。会場となった熊谷ラグビー場に観客を入れることは叶わなかったが、グラウンドは熱気に包まれた。
ファーストトライは一瞬だった。
筑波大が全速力のキックオフチェイスでなだれのようにボールに絡む。帝京大はたまらず後逸、そこにルーキーの大畑亮太がさらに詰めて5㍍スクラムをもぎ取った。
そのスクラムからフェイズをかけずにFL岩田真樹が押し込みトライ。筑波大がわずか1分15秒で先制した。
その後も筑波大は気迫のディフェンスを見せる。ブレイクダウンで執拗に絡み続ける代償でペナルティが重なることもあったが、粘りに粘った。ラインブレイクされても必死に追いかけ、インゴールでトライセーブもした。
敵将の岩出雅之監督もそのディフェンスには賛辞を送ったが、筑波大のスコアは前半1分の「7」のまま動かなかった。
一方の帝京大は前半で2トライを奪った。11分にWTB大藪洸太の個人技で同点に追いつくと、34分にはこの日不調だったラインアウトからモールで押し込み逆転に成功(14-7)。
自らの仕掛けも有効だったSO高本幹也が操るアタックは、必ずゲインできそうな不気味さを感じさせた。だが細木康太郎主将が「焦ってしまうところもあった」と認めるように、抜けたあとにボールを失うことが多く、再三敵陣22㍍エリアで戦いながら後半は1PGのみに終わった。
ミスを重ねる中でも、試合を終始優位に運べていたのはスクラムで際立つ強さを見せたからだ。前半の中盤から押し始め、何度もターンオーバー。筑波大がキックなどで得たチャンスをはね返した。
筑波大も見せ場は何度も作った。特に目立ったのがルーキーの活躍だ。
元BKのFL、倉井瑛志は序盤から何度もタックルで刺さる。WTB大畑亮太も自慢のスピードで間合いを詰め、好タックルを連発した。SO浅見亮太郎は深紅のジャージー相手でも物怖じせずにプレー。要所でのキックが光った。
両軍、「いいところも悪いところもあった」と語った初戦。タイトなゲームをここで戦えたことは大きなアドバンテージになるだろう。
筑波大は26日に慶大と、帝京大は25日に青学大とぶつかる。