シーズン最初のトライは前半10分。スーパーラグビー出場16試合で、サンウルブズにも在籍したFBジョーダン・ジャクソン=ホープがインゴールに飛び込んだ。
9月11日、関東のラグビーシーズンが開幕した。
トップイーストリーグAグループの東京ガス×クリーンファイターズ山梨がおこなわれ、東京ガスが73-7と快勝した。
キックオフは16時。試合が終わるとすぐに日が暮れ、緑の芝生が照明の中に浮かび上がっていた。
戦いの舞台となった大森のグラウンドからは、羽田空港へ離着陸する飛行機がひっきりなしに見えた。暑すぎず、ラグビーシーズン到来を感じさせた。
敗れたクリーンファイターズも、ただやられたわけではなかった。
試合開始直後は前に出るディフェンスで圧力をかけるなど、自分たちの準備してきたことを出そうとする意志が伝わる。自陣からでもボールを動かすスタイルが見られた。
前半18分には、SO岡新之助タフォキタウがインターセプトからトライを奪った。
そんなクリーンファイターズに対し東京ガスは、FWがしっかり体を当て、コンタクトシチュエーションで前に出る姿勢を貫いた。
スクラムで優勢に立ったのも勝因のひとつだ。自分たちに流れを引き寄せた。FL鈴木達哉のトライ(前半14分)など、最初の40分だけで5トライを奪った(35-7)。
LOにスーパーラグビーキャップ98のジェイク・シャッツ、NO8にジャスティン・ダウニーと、元サンウルブズのメンバーがパンチのあるプレーを見せた。
それだけでなく、全員がよく動いて手にした勝利だった。
穂坂亘ヘッドコーチは途中出場選手がチームに勢いを与えたことを特に喜んだ。
ラスト15分で5トライを追加し(後半は計6トライで38-0)、気分良くフルタイムの笛を聞くことができた。
FL粕谷俊輔主将が「試合の入りから東ガスの流れでやれた。1対1の局面で、一歩でも前へ出ることをぶれることなく続けられた」と振り返った開幕戦。
落ち着いたプレーでチームの良さを引き出したのがSH山岡篤樹、SO宗像仁のハーフ団だ。
SO宗像は得意のキックで相手に圧力をかけ、チームを前に出した。
前半16分、チーム3つめのトライをPR鈴木健也が奪ったのは、宗像が左足で敵陣深くに蹴り込んだキックがきっかけだった。
前半28分には、少し自陣に入った位置でのスクラムから出たボールを、相手22メートル地域内で弾ませて外に出した。
試験的ルール、50/22キックでマイボールラインアウト。HO小川一真のトライを呼んだ。
SH山岡は安定した球さばきでチームのテンポを作った。
158センチと小柄でも戦えるのは技術に加え、ハートの強さもある。「このサイズでは強気でないとやっていけない」と話す。
小学3年生のときに練馬ラグビースクールで楕円球を追い始め、中高と本郷で鍛えられた。早大に入学し、4年時はディフェンス力とボールキープ力を評価されてWTBでもプレーした。
この日も、相手FWを低いタックルで倒していた。声で周囲を動かした。
現状ではトップイーストで優勝しても新設のリーグワンに昇格できる仕組みにはなっておらず、モチベーションの持ち方が難しい状況ではある。
しかし、穂坂ヘッドコーチ、粕谷主将とも、「まずは全勝優勝し一番上へ。そこにいつづけることが、道を拓く、次につながると思って戦う」と声を揃えた。
トップイーストAは、この日戦った両チームに加え、横河武蔵野アトラスターズ、ヤクルトレビンズ、セコムラガッツの5チームがホーム&アウェーで戦い、優勝を争う。