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試合観戦がもっと楽しくなる! 大学ラグビー2021識者展望 【大学ラグビー J SPORTSで配信!】

2021.09.10

2氏が対抗戦優勝と予想した帝京大。NO8奥井章仁をはじめFW陣には大学屈指の顔ぶれが並び、覇権奪回に期待がかかる(撮影:長岡洋幸)

例年以上に上位勢の実力が拮抗していることに加え、多くのチームがコロナ禍で練習や合宿の計画に大きく影響を受けたこともあり、力関係が見通しづらい状況となっている今季の大学ラグビーシーン。そこで今回は、長年大学ラグビー報道に携わってきたメディア関係者3名とラグビーマガジン編集部に、各リーグの優勝予想と期待する選手をうかがった。現場の空気感を知るエキスパートたちの展望を参考に、9月12日からスタートするシーズンをよりいっそう楽しみましょう!

Q1.関東大学対抗戦A 優勝予想

・大友信彦氏[東京中日スポーツ/RUGBY JAPAN 365

→早稲田大

・村上晃一氏[ラグビージャーナリスト]

→帝京大

・大谷寛氏[(株)ジェイ・スポーツ 企画制作部 ラグビープロデューサー]

→明大

・ラグビーマガジン編集部

→帝京大

日本一を狙う強豪校ぞろいの激戦リーグらしく、優勝予想は意見が割れる結果となった。その中で村上晃一氏とラグビーマガジン編集部が挙げたのが、4年ぶりの大学選手権優勝を期す帝京大だ。

「ここ数年勝てない帝京大が屈辱を晴らす実力をつけたように思える。早慶明との戦いは、どの試合も白熱するだろう」と村上氏。ラグビーマガジン編集部からは「春の招待試合で明大に勝った時、うれし涙を流していたのは細木康太郎主将ら4年生だけではなかった。下級生も自分ごととしてとらえ、チームに関われている証拠」と、春の時点で芽生えていたチームの一体感を評価する声が聞かれた。

ラグビーマガジンで「記録ナビ」を連載するベテラン記者の大友信彦氏は、歴代最多16回の選手権優勝を誇り、大田尾竜彦新監督の就任でも注目される早稲田大を予想。またラグビー中継でおなじみのJ SPORTSのプロデューサーである大谷寛氏は、「明治優勝、ライバルは早稲田、それを帝京が追う展開」と展望し、「早稲田は大田尾体制の新システムの浸透にもう少し時間を要すると予想。明治の強みは大学ナンバーワンの層の厚さ。ベンチの選手もほとんど遜色ないレベルで、試合終盤にそれが効いてくると思います」とその理由を述べた。

Q2.関東大学リーグ戦1部 優勝予想

リーグ戦で頭ひとつ抜けた存在と評される東海大。FLジョーンズリチャード剛主将(右端)のもとで悲願の大学日本一を目指す(撮影:菅原淳)

・大友信彦氏[東京中日スポーツ/RUGBY JAPAN 365

→東海大

・村上晃一氏[ラグビージャーナリスト]

→東海大

・大谷寛氏[(株)ジェイ・スポーツ 企画制作部 ラグビープロデューサー]

→東海大

・ラグビーマガジン編集部

→東海大

関東大学リーグ戦は、現在リーグ3連覇中の東海大で4者の予想が一致した。下級生時から公式戦に出場してきた多くの主軸選手が最終学年を迎えるFWの充実に加え、「武藤ゆらぎ、丸山凜太朗という2人のプレーメイカーのいる東海大が強いと見る」(村上氏)、「武藤・丸山のダブル司令塔の活躍を楽しみにしています」(大谷氏)と、高校時代から全国的に名を馳せてきた2人のSOが10番、12番に並ぶ布陣に、大きな可能性を感じているようだ。

「FWの主力がほとんど4年生で、BKにもCTB丸山凜太朗ら実力者がそろう。どこからでも攻められるアタックは脅威だろう」と、バランスのとれたチーム力を高く評価するのはラグビーマガジン編集部。どの選手も体を当てる意識が強く、ラグビーのベースとなるコンタクト局面で安定して強みを発揮できる点は、シーズンを戦い抜く上での大きな武器になるはず。悲願の日本一に向け、リーグ戦でどのような戦いを見せるかが注目される。

Q3.関西大学Aリーグ 優勝予想

LO南光希とともに共同主将として同志社大を牽引するSH田村。6年ぶりの関西制覇を目指す(撮影:早浪章弘)

・大友信彦氏[東京中日スポーツ/RUGBY JAPAN 365

→同志社大

・村上晃一氏[ラグビージャーナリスト]

→同志社大

・大谷寛氏[(株)ジェイ・スポーツ 企画制作部 ラグビープロデューサー]

→同志社大

・ラグビーマガジン編集部

→同志社大

同じく4者の見立てが一致したのは、関西大学リーグだ。ただし票を集めたのは、昨季大学選手権初優勝を果たしたリーグ5連覇中の天理大ではなく、7月4日に行われた関西大学春季トーナメント決勝でその天理を35-19と破った同志社大。関西勢として6年ぶりに天理大に黒星をつけた名門の戦力と勢いを高く評価する声が多かった。

東海大と同様に、同志社大も今季は4年生に実力者が並ぶ。特にBKは共同主将のSH田村魁世を筆頭に、CTB稲吉渓太、WTB和田悠一郎、FB山口楓斗と世代代表経験者が並び、学生屈指のラインに仕上がりそう。対照的に、「CTBシオサイア・フィフィタ、SO松永拓朗、SH藤原忍の抜けた穴は大きい」(大谷氏)と見られるのは天理大。伝統の早いテンポの連続攻撃で主導権を握るため、「セットプレー、ブレイクダウンの整備を急ぎたい」(村上氏)ところだ。

大友氏が「優勝候補に推した3校はチームの求心力で他校よりもリードしている印象ですが、大学選手権となると決勝までの1か月にどうチームが成長するかが鍵を握る」と記しているように、大学ラグビーはリーグ戦から選手権にかけてのピーキングも大きな焦点となる。「これらの優勝予想チームが大学日本一になるかどうかはわからない」(村上氏)、「大学選手権でも同じ結果になるとは限らないと見ています」(大谷氏)と、この点でも各氏の認識は共通している。各校がどのように先を見据えながら目の前の試合に臨んでいるかという点に着目するのも、観戦のひとつの楽しみ方だろう。

Q4.期待している選手

異例の転向で注目される慶大SH山田。持ち味のスピードとキックをどう生かすか、楽しみだ(撮影:長岡洋幸)

・大友信彦氏[東京中日スポーツ/RUGBY JAPAN 365

→廣瀬雄也(明治大2年/CTB

・村上晃一氏[ラグビージャーナリスト]

→山田響(慶大2年/SH

・大谷寛氏[(株)ジェイ・スポーツ 企画制作部 ラグビープロデューサー]

→谷山隼大(筑波大2年/CTB

・ラグビーマガジン編集部

→佐藤康(天理大4年/HO

今季の活躍を期待する選手については、バラエティに富んだラインアップとなった。大友氏の推薦は明大のCTB廣瀬。「12月の1か月間でチームをブレイクさせるキーマン候補は誰か? を想像しながらシーズンを見るのが楽しい。廣瀬選手には、夏の試合から、臆せず上級生に割って入って自分を出し切る覚悟を感じました」というコメントが届いた。

村上氏が挙げたのは、今季よりFBからSHへ異例のコンバートとなった慶大の山田だ。「新時代のSH像を体現するのではないか。スピードを生かし好サポートからのトライを量産すれば、チームの白星も増えるだろう」。上位進出に向けチームの起爆剤となれるか、プレーぶりが注目される。

「BKもバックローもこなせる万能プレーヤー。去年のデビュー戦が衝撃的でした。今年はどこのポジションで起用されるのかも見もの」と大谷氏が語るのは、筑波大CTBの谷山。対抗戦初出場となった昨季の慶應戦での圧巻のパフォーマンスは、底知れないポテンシャルを感じさせた。3月に負ったケガの影響で夏までピッチを離れており、どの段階で復帰できるかは現時点では未定だが、攻守に渡り戦術の軸になりうる選手だけに、戻ってくれば筑波大にとって大きなプラス材料となる。

ラグビーマガジン編集部が推薦するのは天理大のキャプテン、HO佐藤だ。多くの主力選手が卒業する中で連覇の期待を背負うプレッシャーは想像に難くないが、「その中でどういうパフォーマンスを見せるのか、主将としてどう振る舞うのかに注目」という意見が寄せられた。ひたむきに鍛錬を重ねて覇権を手にしたディフェンディングチャンピオンの象徴ともいえる存在であり、ここからいかにチームを導いていくかが楽しみだ。

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