9月12日に開幕する関東大学対抗戦を皮切りに、いよいよ秋の公式戦シーズンを迎える大学ラグビー。順位争いとともに毎年注目されるのが、ラグビー界の未来を担う逸材たちのプレーぶりだ。今回は『青春の挑戦者』企画として、今季より大学ラグビーに挑む期待のルーキーたちを紹介する。
早大・佐藤と帝京大・青木。桐蔭学園コンビの激突に注目。
春から多くの選手がAチームの試合で活躍するなど実力者がそろう2021年度の新人の中でも、実力、実績の両面でこの世代を牽引してきたのが、早稲田大のNO8佐藤健次だ。強豪の桐蔭学園で1年目から不動のレギュラーとして8番を背負い続け、2、3年時は花園連覇の原動力に。2年生の夏には日・韓・中ジュニア交流競技会に参加するU17日本代表に選出され、キャプテンも務めている。
最大の魅力は圧巻の破壊力を誇るボールキャリー。178cm、100kgという数字の印象を超えた強靭なフィジカルに加え、中学までWTBでトライを量産したBK並みの脚力と優れたボディバランス、ここというタイミングでボールに絡む非凡な嗅覚を合わせ持ち、豪快に相手防御を突破して決定的な仕事をやってのける。力任せでなく、小刻みなフットワークや加速力を駆使して推進力を最大化できるところに、特別な才能を感じさせる。
国際級のFW第3列としては小柄なことから、大学ではHOへの転向を考えていたが、大田尾竜彦監督の「本来のポジションで大学ナンバーワンになってからでいい」というアドバイスを受け、まずはNO8で一番を目指すことを決意した。将来を見据えスローイングとスクラムを組むための体づくりは並行して進めており、入学からの5か月あまりで5kgほどのビルドアップに成功。前キャプテンの丸尾崇真が抜けた穴をいかに埋めるかという点でも、活躍が期待される選手だ。
その佐藤とともに桐蔭学園の2大エースとして高校ラグビーシーンを席巻したFL青木恵斗(帝京大)も、将来性を高く評価される大器だ。187cm、110kgのバランスのとれた雄大な体格を誇り、並外れたコンタクト力にスピードと巧みなハンドリングを兼備する。相手ディフェンスのぶ厚いところを前に出られる問答無用の突破力が自慢のペネトレーターだ。
こちらも将来性を考慮して、大学入学後にLOからFLへと持ち場を移した。自由に動いて存分に持ち味を発揮できた高校時代に比べ、周囲に合わせて動くことが求められるようになったことで本人は難しさを感じているようだが、試合経験を重ねて大学レベルのプレー強度に慣れてくれば、タックラーをなぎ倒して前に出るおなじみの場面も自然と増えるだろう。好選手がひしめく帝京大FW陣の中で春からAチームの全試合で先発出場を果たしたことが、何より首脳陣の期待の高さを表している。「意識しますし、楽しみです」と語る盟友の佐藤との対戦が対抗戦で実現すれば、多くの注目を浴びそうだ。
紫紺のエース定着なるか、明大・安田。天理大ヴァカタも広大なポテンシャルを秘める。
昨年の対抗戦王者で3季ぶりの日本一奪回を期す明治大には、今シーズンも数多くの俊英が入学した。部内の春の新人王に選ばれたFL福田大晟(中部大春日丘)、多彩なスキルでチャンスを生み出すWTB/FB金昂平(大阪朝高)らタレントが並ぶ同期の中でも、高校時代からひときわ潜在力を高く評価されてきたのがWTB安田昂平(御所実)だ。181cm、86kgのスラリとした体型に50m6.0秒のスピードを備え、切れ味鋭いステップワークで狭いスペースでもトライを取り切れる卓越した決定力を有する。高校3年時はSOを務めたように器用さもあり、一気に陣地を挽回できるロングキックも、バックスリーとして大きな武器になる。
6月6日の東海大戦でAチームデビューを果たし、翌週の帝京大戦ではさっそく大学初トライもマークした。同じポジションにはセブンズ日本代表として東京五輪に出場した石田吉平(3年/常翔学園出身)を筆頭に学生屈指の実力を持つライバルがそろい、レギュラー争いは熾烈だが、「安田のプレーが見たい」と周囲に思わせるカリスマ性は、この天性のランナーの大きな魅力だ。紫紺のジャージーをまとい、伝統の一戦で秩父宮の芝を駆け回るシーンを目にするのが、今から待ち遠しい。
昨季の大学選手権で悲願の初優勝を成し遂げた天理大では、日本航空石川から入学したFL/LO/NO8パトリック・ヴァカタのスケールの大きさが目を引く。189cm、111kgの堂々たる体格で50mを6.3秒で駆け抜けるずば抜けた身体能力を誇り、昨冬の花園では大きなストライドを生かした走りで何度もビッグゲインを見せた。高校生ですでにベンチプレス150kgを挙げるなどパワーもトップレベルにあり、今後の4シーズンで大学ラグビーシーンをおおいに沸かせてくれそうなポテンシャルを感じさせる。
日本航空石川-天理大ラインの選手といえば、昨季の優勝チームの主軸でこの7月に日本代表デビューも果たしたシオサイア・フィフィタ(現花園近鉄)がおなじみ。今季の4年生にもNO8/LOアシペリ・モアラが在籍しており、半月板の手術で春を全休した先輩とともにピッチに並び立つことになれば、相手にとっては大きな脅威になるだろう。地道なトレーニングで原石を磨き上げる文化が息づく天理大の環境でもまれ、広大な潜在力が完全開花することを期待したい。
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