大学ラグビーの秋の公式戦が、いよいよ9月12日に開幕する(関東大学リーグ戦1部の開幕は9月26日に延期)。毎年メンバーが入れ替わり、その年々によってチームカラーも変化する学生ラグビーは、社会人ラグビーとは違った魅力がいっぱい。今季は複数の強豪大学で新監督が誕生し、新体制のもとでどんな戦いを展開するのかも注目されるところだ。ここでは春から夏にかけての各校の様子をもとに、関西大学リーグの優勝争いを展望してみたい。
関西の勢力図に変化。
逆襲期す天理、同志社、京産は手応えあり。
関西ではこの春、リーグ戦5連覇中で昨冬大学選手権初優勝を果たした天理大が、春季トーナメントで同志社大に敗れるという“異変”があった。天理大が関西勢との試合で黒星を喫したのは、実に6年ぶり。FWの大黒柱であるNO8アシペリ・モアラを半月板の手術で欠いていたとはいえ、勢力図に変化が起きつつあることを実感させる出来事だった。
もっとも、その敗戦をもって天理大の力が落ちたと結論づけるのは早計だろう。事実、6月20日の明治大戦では終盤まで同点の接戦を演じており(最終スコアは●21-26)、夏合宿の再戦でも多くの主力が欠場しながら10-28と食い下がっている。続く帝京大戦では14-40と離されるなどパフォーマンスが安定しない点は課題だが、ケガ人が復帰しチームに芯が通れば、本来の力を発揮できるようになるはずだ。
日本代表入りを果たしたCTBシオサイア・フィフィタやFL松岡大和主将ら選手権優勝の原動力となった主軸が多数卒業した今季、「同じことをやっていては勝てない」(小松節夫監督)というのは選手、スタッフが口をそろえる共通認識だ。一方でその状況は、新たな戦力が台頭するチャンスが数多くあり、去年とは違う武器を手にする余地が残されているということでもある。もとより無名の原石たちを地道なトレーニングで鍛え上げ、分厚い戦力を誇る強豪に果敢に挑むのが、クラブに深く息づくカルチャーだ。その象徴ともいうべきHO佐藤康主将が率いる今季のチームが、ここからどのような成長曲線を描いていくかに注目したい。
一方、長く続いていた一強時代を動かした同志社大にとって、この勝利の意味は大きいだろう。伊藤紀晶ヘッドコーチが就任した昨季から継続して強化してきたディフェンスとブレイクダウンで天理大を上回り、勝ち切ったことは、チーム全体に確固たる自信をもたらすはずだ。去年は関西2位で選手権出場を決めながらコロナ陽性者が確認され辞退する痛恨を味わっており、今季は昨年の4年生の思いも背負って臨む戦いとなる。前線で体を張って鼓舞するLO南光希、冷静な判断で試合を組み立てるSH田村魁世という部史上初の共同キャプテン体制で、6年ぶりの関西制覇、さらには1984年度以来となる大学日本一を目指す。
また廣瀬佳司新監督が就任した京産大も、春季トーナメントで同志社大に20-21と肉薄し、摂南大に50-22、関西学院大には90-5と大勝するなど、この春は手応えをつかむシーズンとなった。慶應大に14-47で敗れた昨冬の選手権3回戦の先発メンバーのうち10人が残り、チームのよりどころであるスクラムが安定している点は大きな強み。上位2強を崩す力を秘める。
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