フランスで、トップ14のクラブによるセブンズの大会、「SUPERSEVENS(スーパーセブンズ)」が、8月14日のエクサン・プロヴァンス大会を皮切りに、21日にトゥールーズ、そして28日にラロシェルと、巡回形式で行われた。
この大会はLNR(トップ14の運営団体)が7人制の強化、人材発掘、また新しい若い層を惹きつけ、15人制の観客層拡大につなげることを目的に、昨年、シックスネーションズでトップ14が一時オフになる2月に第1回大会をスタートさせたもの。
だがその後、新型コロナウイルス感染拡大で中断され、この夏、ようやく再開することができた。
チーム編成は、エスポワール(アカデミー)の選手ばかりにならないよう、3名以上プロ契約の選手を登録することが義務付けられている。
またジョーカーとして、2部リーグ、または3部リーグの選手を4名まで登録できる。
ちなみに、この夏オーストラリアとのテストマッチでフランス代表デビューを果たしたFBメルヴィン・ジャミネは、昨年の大会でクレルモンのジョーカーとして参加した。
その時の活躍が、エスポワールとして所属していたペルピニャン(当時2部リーグ)のプロチームのHCの目に止まりプロデビュー、その後プロ契約を結んだ。
そして約1年半後にはブルーの代表ジャージーを着てワラビーズと戦うことになったのだ。
参加するのは、トップ14の14チームに、フレンチ・バーバリアンズ・セブンズとモナコ・セブンズの2チームが加わった16チーム。
この2チームは、他のクラブチームのように所属選手を持たないので、2部リーグ、3部リーグ、また海外のチームから7人制の経験者を中心に選手を招聘してチームを編成している。
モナコ・セブンズのマネージャーを務めているのは、元フランス代表SOのレジェンド、フレデリック・ミシャラクだ。
ミシャラクは2015年からモナコでの7人制ラグビーの普及・強化活動に取り組んでいる。セブンズに新しいポテンシャルを期待してのことだ。
「7人制はラグビーという競技に新しい風を吹き込んでくれる。エンターテインメント性があり、またスタンドには仮装した人もいて、お祭りのような雰囲気の中、短い時間の試合をいくつも見ながら、みんなで一緒に楽しく1日を過ごせる。今までのラグビーファン層とは違った若い人が興味を持ってくれるだろう」
また、「プロの大会に参加する以上、勝つためのチームにしなければならない」と、第2ラウンドのトゥールーズ大会から、南アフリカセブンズのレジェンド、セシル・アフリカを助っ人として呼び寄せた。
キャプテンのジョアン・ドゥメ=アムシェルは、「セシル・アフリカとプレーできるなんて信じられない! 彼は、練習で僕たち一人一人の意見を聞いてくれ、チームのシステムに順応し、所々で彼のタッチを加えてくれる。でも試合でいざという時には、彼の経験でチームをリードしてくれる」と話している。
最近は南アフリカのチーターズ、MLRサンディエゴと15人制のチームでプレーしていたセシル・アフリカだが、「自由に走り回れる僕の大好きなラグビーに戻って来られて、とても幸せだ。僕の知識をチームのみんなとシェアしてグラウンドで活かし、チームが11月の決勝ラウンドに進出できるよう貢献したい」と大会への参加を喜んでいた。
また、「15人制の選手に7人制をプレーする機会を与えるのは、素晴らしい取り組みだと思う。7人制は技術やプレースピードだけでなく、プレッシャー下での瞬時の判断力も磨けるし、1対1にも強くなる」と7人制を経験することのメリットを伝えた。
準備期間がほとんどなかった昨年の第1回大会と比べると、この夏の3ラウンドでは、元セブンズ代表選手をコーチとして招へいするなど、本腰を入れて準備するチームも増えた。結果的にレベルが上がり、よりセブンズらしくなって白熱する試合も増えた。
結果は、第1ラウンドはポーが優勝、第2、第3ラウンドはモナコの連覇となった。11月にパリのラ・デファンス・アリーナで行われる決勝ラウンドは、この2チームに加え、3ラウンドの総合順位の上位6チームで戦われる。
どのラウンドも、スタジアムにはセブンズならではの仮装した人もたくさん見られ、また簡易のウォータースライダーやゲーム、コンサート、花火も用意されるなど、子どもも大人も夏の週末を、久しぶりのスタジアムで満喫していた。
昨季は入場制限や無観客試合が続き、寒々としたスタンドがグラウンドを囲んでいたが、新シーズンは衛生パス(ワクチン接種証明、または陰性証明)も導入され、選手も待ち望んでいたサポーターの笑顔と声援がスタジアムに帰ってくる。
9月4日に開幕するトップ14の新シーズン、さらなる盛り上がりが期待される。