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【東京パラリンピック】車いすラグビー日本代表、開幕2連勝。ローポインターの成長、チームを支える

2021.08.27

一丸となって戦う日本代表。島川慎一(右)と倉橋香衣。(Getty Images)



 8月26日、東京パラリンピック・車いすラグビーは予選ラウンド第2戦の4試合がおこなわれ、世界ランキング3位の日本はデンマーク(同7位)との一戦に臨んだ。

 日本とは2018年の世界選手権以来の対戦となるデンマーク。パラリンピック銀メダリストの元アメリカ代表、ジェーソン・レジアー氏がヘッドコーチに就任し、ここ数年で急成長しているチームだ。
 前日には世界ランキング1位のオーストラリアを破る大金星を挙げただけに、「格下」だと決して侮ることはできない。

 初戦の緊張もほぐれ集中力を高めて試合に入った日本は、立ち上がりからアグレッシブなディフェンスを仕掛けていく。高い位置でプレスをかけ、デンマークのハイポインター(障がいの軽い選手)がスピードに乗る前に動きを封じ、次々とターンオーバーを奪った。

 バスケットボールと同じ大きさのコートでおこなう車いすラグビーには、40秒以内にトライ、12秒以内にセンターラインを越える、10秒以内にドリブルまたはパスをする…といった、時間に関するルールがある。
 これらのバイオレーションが生じると相手ボールになる。

 日本は連係プレーで相手選手にプレッシャーを与え、バイオレーションを誘い出した。
 じりじりと点差を広げると16-13で第1ピリオドを終え、続く第2ピリオドでも日本優位のまま試合が進んだ。

 ポイントゲッター・池崎大輔や池透暢がスコアを重ねる一方で、障がいの重いローポインター・若山英史が、するりとスペースに走り込む。パスを受け取りトライ。
 多様な攻撃パターンを織り交ぜ、前半を30-26で折り返した。

 後半に入っても日本の勢いは止まらなかった。
 デンマークはなんとか苦しい状況を打開しようと様々なラインナップを送り込むが、日本の硬い守備に阻まれる。個人技で突破しようと試みるも、スコアは伸びなかった。

 44-38で最終ピリオドに突入すると、日本は12人のメンバー全員がコートに立った。最後まで集中力を切らすことなく60-51で圧勝。
 開幕2連勝とし、大一番・オーストラリア戦に向け弾みをつけた。

 この日、特に光ったのは、ローポインターたちの攻守にわたる好プレーだった。
 2017年のケビン・オアー ヘッドコーチ(以下、HC)就任以降、取り組んできたことのひとつが「ローポインターの強化」だった。日本が強くなるためにはローポインターの成長が不可欠だと考え、ディフェンスはもちろん、積極的に得点に絡むプレーにも力を注いできた。
 ローポインターがトライするシーンは、日本の試合において今や珍しいことではなくなった。

 ケビンHCは「日本の6人のローポインターは非常に安定した素晴らしいプレーヤーだ。プレーの中ではハイポインターが注目を集めがちだが、ローポインターも『日本チーム(It is the TEAM JAPAN)』として貢献してくれている。今日の試合では若山も今井友明も良いリーダーシップを発揮してくれた」と活躍を称えた。

 8月27日、日本は予選ラウンド最大の山場となるオーストラリア戦に挑む。
 12人それぞれの能力と覚悟を結集し、必ずや勝利を手にしてくれることだろう。

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