ディフェンディングチャンピオンは衣替えの最中だ。
昨季、初の大学日本一に輝いた天理大ラグビー部は、前年度の主力を数多く卒業させた。人員の入れ替えを余儀なくされるなか、技巧と低さとタフさを貴ぶ伝統的なプレースタイルを継続させている。就任27季目の小松節夫監督はこうだ。
「経験を積んでいけば、なんとか戦える」
新たなレギュラー候補の1人に、アントニオ・トゥイアキがいる。身長187センチ、体重98キロの3年生で、WTBとして力と速さを披露する。
6月の時点では「コミュニケーションが課題」と周りとの連係に消化不良の感をのぞかせていたが、球を持った時のインパクトは十分。指揮官にも期待される。
「(昨季までは)けがしたり、日本のラグビーに慣れていなかったりというところがあった。去年も調子がよくなったところでけがをして、後半は全然(試合に)出ていない。今年3年目。日本語もうまくなってコミュニケーションが上達して。よくなってきた」
9歳の頃にトンガカレッジで楕円球と出会い、ニュージーランドのロトルアボーイズ高を経て2019年に天理大入り。大学までのプレー先は、6学年上の兄・フィシプナ(現セコム)と同じだ。
外国人の同時出場枠は3つで、天理大では前副将のCTBで日本代表のシオサイア・フィフィタ(近鉄)が抜けている。4年生LOのアシペリ・モアラ、2年生WTBのマナセ・ハビリが前年度からの主力格としクラブに残るなか、春先のゲームではハビリとトゥイアキが両端に立った。インパクトを示した。小松監督はこうも言う。
「マナセ、アントニオがよければFWが1枚(というオプションも生まれる)。ここに(春先に離脱していた)アシペリが帰ってくれば、(留学生同士の)競争が生まれる」
天理大は加盟する関西大学Aリーグで目下5連覇中。今季は9月18日に開幕で、天理大の初戦は19日、大阪・ヤンマースタジアム長居で迎える(対 近大)。