2016年のリオデジャネイロオリンピックでは決勝で敗れ、悔し涙で頬を濡らした7人制ラグビー女子ニュージーランド代表“ブラックファーンズ・セブンズ”が、東京でも大泣きした。でも今度は、やがて満面の笑みで表彰台の一番高いところに立ち、ゴールドに輝いた。
東京2020オリンピックのラグビー競技(7人制)は、7月31日に最終日を迎えて女子の順位決定戦がおこなわれ、決勝ではニュージーランドとフランスが対戦し、26-12でニュージーランドが制した。
ニュージーランドのラグビー代表がオリンピックで優勝したのは初めて。男子は東京大会で銀メダルに終わっており、女子が最高の形で締めくくった。
リオで6位だったフランスは、東京では銀メダルを獲得し、2024年に自国開催となるパリ大会での優勝へ向けてさらに強化を進めていくことになる。
3位決定戦はフィジーがイギリスを21-12で下し、銅メダルを獲得した。
決勝では黒衣の選手たちが躍動した。
前半1分、サラ・ヒリニ主将が自陣から抜けて大きくゲインし、ミカエラ・ブライドにつないで先制。その後、フランスのカロリーヌ・ドゥルアンにトライを奪い返されたが、ニュージーランドは5分30秒、敵陣でPKをもらうと速攻を仕掛け、ゲイル・ブロートンが跳ねて左隅にフィニッシュし、貴重な追加点を獲得した。さらに、ハーフタイム前にはステイシー・フルーラーが鮮やかにディフェンスを切り裂き、19-5で折り返した。
フランスも勝利への執念を見せ、後半1分30秒、セラフィーヌ・オケンバがブレイクし、つないで、最後はアンヌ=セシール・シオファニがトライ。コンバージョンも決まり、1プレーで追いつくことができる7点差に詰めた。
しかし、ニュージーランドは4分、連続攻撃でアドバンテージをもらって攻め込み、タイラ・ネイサンウォンがフィニッシュして貴重な7点を追加。
ニュージーランドはこの5年間の思いをすべてぶつけるかのようにエナジーを出し切り、やがて歓喜の瞬間を迎えた。
そして、表彰式のあとは勝利の“ハカ”を舞い、無観客の東京スタジアムに魂の叫びがこだました。
銅メダルのフィジーも最後に最高のパフォーマンスを披露した。
3位決定戦では、序盤にアロエシ・ナコジが攻守で奮闘してチームに勢いをもたらした。前半6分には、主将のルシラ・ナンガサウが仕掛けてオフロードでつなぎ、先制トライを挙げていたナコジがパスをもらって再びゴールへ駆け抜けた。
14-5で迎えた後半3分20秒には、レアピ・ウルイナサウがブレイクスルーで貴重な追加点を獲得。
対するイギリスは、共同主将のひとりであるメーガン・ジョーンズが2トライを奪い返したが、21-12でフィジーの勝利となった。
イギリス女子はまたしてもメダルに届かず、2大会連続で4位に終わった。
フィジー女子は、2連覇を遂げた男子代表とともに最高の土産を持って母国に凱旋する。
日本は11位・12位決定戦でブラジルに12-21で敗れ、最下位に終わった。
<東京2020オリンピック 女子7人制ラグビー 順位決定戦結果>
▽準々決勝
・ニュージーランド 36 – 0 ロシア(ROC/ロシア オリンピック委員会チーム)
・フィジー 14 – 12 オーストラリア
・イギリス 21 – 12 アメリカ
・フランス 24 – 10 中国
▽準決勝
・ニュージーランド 22 – 17 フィジー
・フランス 26 – 19 イギリス
▼決勝
・ニュージーランド 26 – 12 フランス
▼3位決定戦
・フィジー 21 – 12 イギリス
▽5位~8位トーナメント
・オーストラリア 35 – 7 ロシア(ROC)
・アメリカ 33 – 14 中国
▼5位・6位決定戦
・オーストラリア 17 – 7 アメリカ
▼7位・8位決定戦
・中国 22 – 10 ロシア(ROC)
▽9位~12位トーナメント
・カナダ 45 – 0 ブラジル
・ケニア 21 – 17 日本
▼9位・10位決定戦
・カナダ 24 – 10 ケニア
▼11位・12位決定戦
・ブラジル 21 – 12 日本