ラグビーリパブリック

2戦目で大幅改善サクラセブンズ タックラー梶木真凜は「向上心のある人は強くなる」

2021.07.30

東京オリンピック直前合宿時の梶木真凜。自衛隊体育学校所属(撮影:松本かおり)


 タックルはラグビーの華だ。

 無観客の東京スタジアムで大型ランナーへ果敢に刺さったひとりが、日本代表の梶木真凜だった。

 7月29日、東京オリンピックの女子7人制ラグビー初日。1戦目で前回金メダルのオーストラリア代表に0-48と大敗した同10位の通称サクラセブンズは、2戦目で同5位のアメリカ代表に7-17と肉薄する。防御を改善できたからだ。

 相手がグラウンドの端から逆側へ大きく展開するのに対し、「ファイヤー」の掛け声で一気に防御網を前にせり上げる。特に、俊足の原わか花が飛び出せば相手のミスを誘う。大外のスペースへ球を回された際も、誰かが大きく駆け戻ってピンチを防ぐ。周りは手早く守備陣形を整える。崩される回数を最小化した。

 この流れで奮闘したのが、4番の梶木だった。

 強靭なボール保持者や抜け出しにかかるランナーへ、低く刺さる。向こうを倒し切ってからすぐに起き上がり、次の局面でも防御ラインに入る。接点のあたりに補修工事を施す。

 この日唯一のスコアが決まるより少し前の、後半5分頃。敵陣22メートルエリアにて、2フェーズ連続でタックルを決める。

 いずれの場面でも仲間と列をなし、走り込んでくる獲物を射程圏内に捉えていた。

 今度のメンバー入りを争う大会直前期の実戦形式セッションでも、「アタックの縦に行くフィジカルの強さ、ディフェンスでの横とのコミュニケーションなどを(要所で)出せたのかな」。大会出場権をつかんだ長所が、そのまま本番でも披露されたのだ。

 ラグビーどころの福岡県で育った。4歳から中学卒業時まで、地元の強豪である草ヶ江ヤングラガーズで男子とともに活動。福工大附属城東高3年時には国体優勝も経験し、現在は自衛隊体育学校に拠点を置く。

 入学の動機は、「毎日、好きな時間好きなタイミングでトレーニングができる」「オリンピックを目指すほかの種目の方もいていいなと思った」。感染症の流行に伴い社会が変わる前までは、空手の選手との交流機会もあったという。

「自衛隊体育学校では努力の大切さを学びました。他の種目の方々を見る機会があったのですが、皆、自分の長所、短所を見て自分に合ったトレーニングをしている。それを見て、『自分を伸ばそうとしている、努力している人は強くなるんだ』『向上心のある人は強くなるんだ』と感じました」

 座右の銘は「夢の扉は開くまで叩き続けろ」。予定より開催が1年延期された大舞台でも、勝つまでハードワークする。

セブンズ日本代表初選出で、オリンピックがデビューの舞台となった梶木真凜(撮影:松本かおり)
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