2大会連続で金メダリストとなるフィジー代表とは、初日の初戦でぶつかった。
「まず五輪メンバーに残れて安心している一方、ホストカントリーとしてフィジー代表と戦うことで、タスクが大きくなったと感じています」
戦前にこう語ったのはトゥキリ ロテ。男子7人制ラグビーの日本代表で、2015年に日本国籍を得るまではフィジー人だった。
「ベストの結果を残すには、世界のベストとやらなくてはいけない。その意味では、フィジー代表はこれ以上にない相手です。日本代表のスタイルである、ペースの速い試合をしたい。持っているものをベストの形で示したいと考えています」
7月26日には東京スタジアムで、東京オリンピックの予選プールB初戦で母国とぶつかる。こうも意気込んでいた。
「フィジーも暑いですが、日本の暑さとは違う。日本の方が蒸し暑い。フィジーは海があるのでそれなりに風があるのです。彼らは、東京の暑さは体験したことがない。一方、私は(関東拠点の)クボタに2年、いたことがある。東京の暑さには慣れていると思っている」
果たして赤と白の背番号2は、身長188センチ、体重98キロの身体を防御で活かす。
相手がペナルティキックからの速攻を仕掛けるや、危険区域へ先回りして相手走者を止める。
5点ビハインドで迎えたラストワンプレーでは、だめ押しを狙うランナーへ大きく駆け戻ってタックル。落球を誘った。
初日のフィジーが2日目以降ほどの出足を披露していなかったとはいえ、あの日の朝の段階では以後の健闘も期待させた。
しかし、結局は12チーム中11位に終わる。予選プールではイギリス代表、カナダ代表に連敗し、順位決定戦でも韓国代表との最終戦まで白星を挙げられなかった。トゥキリもミスを重ねる。
現体制下の岩渕健輔ヘッドコーチが日本ラグビー協会専務理事と兼ねていたことを「セブンズに重きを置いてベストを尽くし、チームの準備に関与してきてくれる」。2016年のリオデジャネイロ大会で4位入賞の33歳は、ノーエクスキューズの姿勢を示す。
まじめなのだろう。オンライン取材時には必ず手元にメモを用意する。聞き手の質問内容をまとめ、考えを整理しているような。戦後は同協会を通し、こう発した。
「勝つか、学ぶか、それがラグビーセブンズです。また強くなって戻ってきます」
まずは所属先の近鉄に戻り、15人制のリーグワン・ディビジョン2を見据える。