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【東京五輪】アルゼンチン6人で南ア倒した! 英国は21点差逆転、NZとフィジーも準決勝へ

2021.07.27

序盤に退場となりベンチで見守ったガストン・レボル(8番)はアルゼンチン勝利に涙(Photo: Getty Images)


 東京オリンピックにおける男子7人制ラグビーのメダル争いは、4チームに絞られた。予選ラウンドを経て、8強による準々決勝が7月27日に東京スタジアムでおこなわれ、ニュージーランド、イギリス、アルゼンチン、フィジーが勝って準決勝進出を決めた。

 前回大会銅メダルの南アフリカが優勝争いから脱落した。倒したのは南米の雄、アルゼンチンだった。しかも、ほとんどの時間を6人で戦っての逆転勝利だった。

 前半早々、南アが先制する。そして2分28秒、アルゼンチンのガストン・レボルがレイトタックルでレフリーに赤いカードを提示され、一発退場。アルゼンチンは残り時間を1人少ない6人で戦うこととなった。

 圧倒的不利となったアルゼンチン。しかし、逆に燃えた。前半5分、マルコス・モネータが驚異的なスピードで自陣から駆け上がってそのままゴールへ走り切り、コンバージョンも決まって同点とした。21歳のモネータはハーフタイム前にも快足を飛ばし、キックを使って連続トライを決め、アルゼンチンは14-7と逆転した。

 アルゼンチンはブレイクダウンでも奮闘し、南アにリズムを作らせない。焦るグリーンジャージーの男たちは反則が続いてなかなか流れを変えられず、逆に、果敢に攻め続けたアルゼンチンは後半5分にもトライを奪い、貴重な5点を追加した。

 残り時間30秒、ゴールに迫った南アに対し、止めようとしたアルゼンチンが反則を犯し、レフリーはペナルティトライを宣告。さらにイエローカードを出し、アルゼンチンは5人となってしまった。5点差でクライマックスへ。
 しかし、リスタートのキックオフボールをアルゼンチンが確保し、まもなく外へ蹴り出し、南米の男たちが19-14で歓喜となった。

 東京でメダル争いから脱落した南アは、大会開幕直前にニール・パウエル ヘッドコーチが新型コロナウイルスの陽性となり、現場で指揮を執れなかったことも悔やまれる。

南アとの激闘で、後半にトライを決めたアルゼンチンのサンティアゴ・アルバレス主将(Photo: Getty Images)
米国のケヴォン・ウィリアムズにプレッシャーをかける英国のアレックス・デーヴィス(Photo: Getty Images)

 2016年のリオデジャネイロオリンピックで銀メダルだったイギリスは、準々決勝でアメリカと対戦し、21点ビハインドから逆転して26-21で歓喜となった。

 前半5分まではアメリカのペースだった。序盤、パワフルなダニー・バレットがハンドオフからゴールへ抜け、先制すると、3分20秒にもパワーとスピードでイギリスのディフェンスを崩し、ペリー・ベイカーがインゴールに持ち込んだ。さらに、リスタートのボールを確保したアメリカはベイカーが連続トライを決め、21点リードとした。

 しかし、イギリスはハーフタイム前に7点を奪い返し、後半の戦いにつなげると、後半開始早々、反則を犯したアメリカの選手にイエローカードが出て、流れは変わった。
 その直後、数的有利となったイギリスは難なくゴールラインを割って点差を詰める。勢いづいて3分過ぎにもトライを挙げ、21-21と追いついた。

 そして後半4分過ぎ、イギリスはハーフウェイ付近でPKを得ると、速攻を仕掛けてダン・ノートンがゴールへ駆け抜け、これが決勝点になった。

 ペリー・ベイカー、カーリン・アイルズという世界最速クラスの2大スターを擁した第4シードのアメリカだったが、準々決勝でまさかの逆転負けとなり、9位に終わった前回大会に続き、またしてもオリンピックの舞台でメダルを獲得することはできなかった。

逆転負けに呆然とするアメリカのカーリン・アイルズ(Photo: Getty Images)
準々決勝でも集中力高かったNZ。切り込むジョー・ウェバー(Photo: Getty Images)

 今大会トップシードのニュージーランドは準々決勝でカナダと対戦し、21-10で勝った。
 前半4分過ぎにゴール前のPKから攻めたアンドリュー・ニュースタッブがギャップを突いて先制すると、6分にはカウンターラックからスコット・カリー主将がゴールに持ち込んだ。ニュージーランドはハーフタイム前にも自陣からつないでカリーが連続トライ。終盤、カナダに2トライを許したが、前半の貯金で逃げ切った。

準々決勝で2トライを決めたフィジーのジェリー・トゥワイ主将(Photo: Getty Images)

 そして、オリンピック2大会連続の優勝を目指すフィジーは、オーストラリアを19-0で下し、準決勝進出を決めた。
 フィジーは前半3分30秒、ジェリー・トゥワイ主将がハーフウェイからディフェンスを破り、先制。ハーフタイム前にオーストラリアが連続攻撃でゴールに迫ったが、ワイセア・ナズングがスーパータックルで落球させ、トライを許さなかった。
 その後、しばらく膠着(こうちゃく)状態が続いたが、後半4分、トゥワイが個人技でディフェンスを切り裂き、貴重な追加点を獲得。フィジーは6分にもトライを挙げて点差を広げ、しぶとかったオーストラリアを退けた。

 8強入りを逃し9~12位を競うトーナメントに進んだ日本は、ケニアに7-21で敗れた。28日におこなわれる11位・12位決定戦では、アイルランドに0-31で屈した韓国と対戦する。

 男子ラグビーは28日が最終日となり、メダル争いを含めた最終順位決定戦がおこなわれる。

▼準決勝
・ニュージーランド vs イギリス
・アルゼンチン vs フィジー

▼5位~8位トーナメント
・カナダ vs アメリカ
・南アフリカ vs オーストラリア

▼9位・10位決定戦
・アイルランド vs ケニア

▼11位・12位決定戦
・日本 vs 韓国