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【展望】日本、『Bee Rugby』でメダル狙う。五輪『ラグビー/7人制』、7月26日に男子から開幕!

2021.07.25

男子セブンズ日本代表を引っ張る松井千士主将。(撮影/松本かおり)



 いよいよ始まる。
 すでに開幕している東京オリンピック。ラグビー(セブンズ)は7月26日に競技開始となる。
 男子が同日から3日間(〜28日)。その後、女子が7月29日から31日まで戦いを繰り広げる。
 日本は、2016年のリオデジャネイロ五輪では男女ともメダルを獲得できなかった(男子=4位、女子=10位)。今回こそ表彰台に立ちたい。
 ここでは、7月26日(月)から始まる男子の戦いを展望する。

◆日本の初戦は対フィジー。試合開始のキックオフに集中せよ

 日本は、午前9時に始まるラグビーの開幕戦に登場。初戦でリオ五輪の金メダル国、フィジーと戦う(プールB)。
 リオ五輪では初戦でニュージーランドを倒し、勢いに乗った。その流れを再現したい。

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 ただ、フィジーは今大会でも金メダル候補の筆頭だ。個人技に優れた選手たちが並ぶ。キャプテンのジェリー・トゥワイは、前回五輪も経験しているゲームメーカー。電気のない村で、ココナツやペットボトルをボール代わりにしてラグビーに興じて育った。ディフェンダー間をすり抜けて走るテクニックは天性のものだ。

 そんな選手の周囲に、15人制のスターとして知られるセミ・ランドランドラのようなアスリートもいるから厄介だ。
 ランドランドラはラグビー・リーグ(13人制)で活躍した後、2018年から15人制へ。フランスのトップ14、トゥーロン、ボルドーでプレーし、現在は英・プレミアシップのブリストルに所属する。2019年のワールドカップにもフィジー代表として出場した。

 強くて巧みなランだけでなく、強烈なタックルも繰り出すランドランドラについてガレス・ベイバー監督は、「そのプロフェッショナルな姿勢は、周囲に好影響を与える」と信頼を寄せる。

 日本は、攻撃力の高いフィジーに長くボールを持たせないことを考えて試合に臨む。
 6月におこなわれたオセアニアセブンズで優勝したフィジーの戦いを分析。チームは準備期間に対策を練ってきた。先手を取ること、セットプレーの精度が勝負を大きく左右しそうだ。
 試合開始のキックオフに最大の集中力を見せたい。このプレーに、運命がかかっている。

◆対イギリス、カナダの対策も万全。イメージを体現するだけ

 日本はフィジー戦後、イギリス(7月26日/16時30分〜)、カナダ(同27日/9時〜)と戦う。
 イギリスはリオ五輪で銀メダルを獲得した実績を持つ。日本は同大会でも同プールで戦った。その時は19-21で敗れている。

 イギリスはオーソドックスなスタイルで戦うチームだ。
 ゲームメーカーのトム・ミッチェル主将のほか、ワールドラグビー・セブンズシリーズ(以下、WRSS)で通算354トライをマークしているダン・ノートンら経験豊富な選手も多い。

 カナダはフィジカルの強いチーム。また、キックオフにも強みを持ち、堅実に戦う。
 共同主将を務めるネイサン・ヒラヤマ、ハリー・ジョーンズは、ともに7人制、15人制で同国代表に選ばれた経験を持つ。ともに、チームが2017年のWRSSシンガポール・セブンズで優勝したときの中核。自由に動かしてはいけない。

 日本はコロナ禍の影響を受け、2020年3月のWRSSカナダ大会(バンクーバー)への出場以後は海外チームとの対戦経験をほとんど積めていない。
 今年の3月下旬から4月上旬に実施された『エミレーツ・インビテーショナル・セブンズ』(ドバイ)への参加が唯一の機会だった。

 しかし、強化合宿に多くの外国出身選手に集まってもらい、実戦を繰り返してきた。
 オリンピックスコッドから競争の途中で外れた選手たちも最後まで対戦相手として協力してくれた。
 細部まで環境を整備するなどホスト国としてのアドバンテージもある。力を出し切りたい。

 松井千士主将は、「大変な状況の中、誰もが望んでいるものではないと思います。その中で私たちアスリートの言動、行動でオリンピックを開催して良かったと思ってもらえるように毎日を過ごしたい」と語る。
「応援してくれるファンの皆さんへ。皆さんの声援が近くではないかもしれないですが、声援が僕たちの力になります。大変な状況の中ですが皆さんの力を貸して下さい。メダルをとるために僕たちは走り続けます。応援よろしくお願いします」

フィジーのセミ・ランドランドラ。その実力は15人制でも証明済。(Getty Images)
イギリスのダン・ノートン。7人制イングランド代表で長く活躍。(Getty Images)




◆激戦必至のプールA。南アフリカはコロナ禍からの挑戦

 プールA、プールCも熱戦が繰り広げられそうだ。
 プールAは、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンの強豪揃い。アジア予選を勝ち抜いた韓国は大変だ。
 ニュージーランドはティム・ミケルソン(WRSS通算235トライ)、スコット・カリーの両ベテランが共同主将を務める。リオ五輪出場を逃し、悔しい思いをしたカート・ベイカーも燃えている。
 忠実なサポートプレーからトライを量産する選手だ。エテネ・ナナイ=セトゥロのようなステッパーとのコンビネーションが期待される。

 オーストラリアではサントリーでも活躍し、フィジー出身のサム・ケレヴィが注目される。ラインブレイク力に長けている。
 レスター・タイガースでも活躍し、読みのいいプレーで得点力の高いニック・マルーフ主将のリーダーシップも期待度が高い。
 アルゼンチンはマティアス・オサズクが魅力的だ。WRSSの2020-2021シーズンはチーム最多トライ。2016-2017シーズンには、ワールドラグビーのセブンズ・シーズン・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。
 韓国ではNTTコミュケーションズ所属の張容興が出場する。

 プールCではメダル獲得の有力候補、南アフリカがコロナ禍に苦しんでいる。
 来日してから1週間は練習できず、その後、キャンプ地の鹿児島で数日だけトレーニングに励むも、チームを2グループに分けて行動することを強いられた。それでもシヴィウェ・ソイズワピ主将は「ZOOMミーティングなどでチームはまとまっている」と気丈に話している。
 PCR検査の結果、陽性者となったニール・パウエル監督は、リモートで指揮を執る。

 100メートル走10秒13のカーリン・アイルズ、同10秒58のペリー・ベイカーを擁するアメリカは、両者をはじめ、アスリート揃いだけに上位進出の可能性を秘める。
 ケニアには、WRSSで歴代2位の通算279トライを誇るコリンズ・インジェラがいる。勢いに乗れば爆発力のあるチームだ。
 アイルランドは世界最終予選を勝ち抜いてきたチームも、ジョーダン・コンロイ、テリー・ケネディーという2人のスピードスターを持っている。決して侮れないチームだ。

 日本を率いる岩渕健輔ヘッドコーチ(以下、HC)は、「どこかの部分で世界でいちばんにならないとメダルは取れない」と言ってきた。
 同HCは大会前、その点について「分析力もその一部」とし、フィットネスについても「2018年のワールドカップセブンズの頃から比べると、数値を倍近くにした者もいる」と話した。
 チームは、自分たちのスタイルを「Bee Rugby」と掲げ、全員が蜂のように動き続けて仕留めるイメージを共有してピッチに立つ。そのラグビーを体現し、7月28日には表彰台に姿を現してほしい。

NZと豪州はプールA。トライをするのは豪州代表、サム・ケレヴィ。(Getty Images)
南アフリカのシヴィウェ・ソイズワピ主将。非常事態のチームをまとめる。(Getty Images)


◆大会競技フォーマット

◎出場12チームは、4チームずつの3つのプールに分かれ、それぞれのプールで総当たり戦を戦う。各試合で獲得できるポイントは以下の通り。

勝利=3ポイント
引き分け=2ポイント
敗戦=1ポイント

◎プールステージ終了後、以下のルールでノックアウトステージの組み合わせを決める。

・獲得ポイントの合計数でプール内順位を決める。
・2チームの合計ポイントが同じ場合は、当該チーム同士の対戦試合の勝者が上位となる。
・3チームまたは4チームの合計ポイントが同じ場合は、以下の基準でプール内順位を決定する。

得失点差
トライ数差
得点数
トライ数
シード

◎各プールの上位2チーム(A1、B1、C1、A2、B2、C2)は、ノックアウトステージのあらかじめ決められた枠に入る。

◎各プールで3位になった3チームは、以下の基準で7位、8位、9位を決める。

総獲得ポイント数
得失点差
トライ数の差
得点数
トライ数
シード

◎プールで4位になった3チームも、同じ基準で10位、11位、12位を決める。

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