身長167センチ、体重73キロ。小刻みなフットワークで防御を切り裂く。
男子7人制ラグビー日本代表の石田吉平が、東京オリンピックの初戦を間近に控える。26日朝、前回金メダル獲得のフィジー代表と戦う。
「メンタルが、自分の小さい身体で(苦難を)乗り越えられた一番、大きな要素かなと」
縄跳びと坂道で鍛えた。ふたつとも、地元の尼崎ラグビースクールで指導者から勧められて素直に取り組んだ。特に縄跳びでは二重跳び、交差跳びといった複雑な技術は「あんまり得意じゃない」というが、「10分間くらいずっと、という感じ」。足腰を鍛えた。
「小学校の頃からずっと続けている縄跳びと坂道を走るというのが、(いまの走りを作った要素として)一番、大きいと思います」
大阪の常翔学園高へ進む。15人制で身体をぶつけ合うNO8、フィニッシャーのWTBと異なるポジションを歴任する。先入観にとらわれずさまざまな役目を与えてくれた野上友一監督に、いまも感謝する。
「高校の監督には『身体よりメンタル(が大事)。気落ちの部分で負けなければ負けない』と言われていた。そこが、大きい選手に勝つための一番の武器かなと」
東京オリンピックを意識しだしたのもまた、高校時代だった。3年時に7人制日本代表としてワールドセブンズシリーズに出て、2020年のメンバー入りも夢ではないと思えたのだ。
「高校3年生の時に初めて日本代表としてワールドシリーズに出た時、コーチの方に『オリンピックも視野に入れられるポジションにいる』と言われて。目指せる位置にいるなら目指したいと思いました」
感染症の影響で大会が2021年に延期となるや、2020年は大学ラグビーシーンへ集中。明大の正WTBとして鋭く駆ける。一方、普段の全体練習後は瞬発力強化のラダートレーニングを重ねる。7人制への移行も見据えた。
直前合宿では、リオデジャネイロ大会に出ていて石田と仲のよかった合谷和弘の落選を知る。最後は13人目の選手として大会登録を狙えることとなった「ケビン」こと合谷には、かえって、励まされた。
「ちょっと、こう…複雑な気持ちになった時に、『そんなくよくよしてるなら、ポジション取っちゃうよ』と冗談で言われて、それが嬉しくて、がんばっていこうと思いました」
準備は整った。向こうの大男を前に、その特異性を示したい。