ついに情勢が動いた。
同志社大が昨季の大学選手権王者・天理大を破った。
7月4日、関西大学春季トーナメントの決勝戦と3位決定戦が天理親里競技場で行われた。決勝は同志社大がリードを保ち続け、天理大に35-19で勝利。天理大から2015年秋以来となる白星を挙げた。3決では京産大がセットプレー、ブレイクダウンを制圧。関西学院大を90-5と圧倒した。
気温と湿度が上がり、蒸し暑い中で迎えた決勝。気迫を見せたのはチャレンジャー、同志社大の方だった。共同主将のひとり、LO南光希は「勝てるかもではなく、勝つつもりで臨んだ」と力強く語る。
開始3分にラインアウトモールで天理大に先制を許すも、直後の7分に同じモールで返して逆転(7-5)。その後は伊藤紀晶HCいわく、昨季よりもレベルが一段上がったというブレイクダウンで天理大を苦しめた。FWだけでなく、WTB和田悠一郎らBKも力強いタックルを見せ、ターンオーバーも決めた。前半終了間際に天理大SO、藤田大輝の個人技で点差を詰められたが、PGを2本入れて13-12とリードで折り返す。
後半の立ち上がりはミスで互いにチャンスを潰したが、SO嘉納一千のグラバーキックからラインアウトモールでトライ(18-12)。ミスを重ねる天理大に対して、同志社大はさらに追い打ちをかけた。24分、スクラムからBKで切り崩して最後はWTB和田が飛び込む。13点差までリードを広げた。
一方の天理大は30分にモールでトライを挙げ、逆転を狙い勢いに乗るが、ひとつのミスが命取りになった。33分、自陣で回すアタックで犯したパスミスを同志社大は逃さなかった。SH田村魁世がオフロードでつなぎ、駆け抜けたNO8梁本旺義が決勝トライ。そしてPGを加えてノーサイドの笛が鳴り、紺グレの歓声が無観客の会場に響いた。
試合後は両チームの主将ともさらに気を引き締める。同志社大の共同主将、SH田村は「僕たちの目標は秋に関西優勝して、日本一になること。この優勝はあくまで通過点。秋に向けて良い自信にしたい」。敗れた天理大の主将、HO佐藤康は「この負けをプラスに考えて絶対にリベンジしたい」と語った。
決勝戦の前に行われた3位決定戦は思わぬ大差となった。京産大が関西学院大から一方的にスコアを重ねて、計14トライを挙げた。昨季の同カードは28-21と接戦だった同カード。京産大が辛くも勝利し、3位で大学選手権出場を決めていた。
京産大はフィジカルとセットプレーで圧倒した。開始2分でいきなりゴール前のモールを抑えると、5分には約40㍍ドライビングモールで前進してそのままトライを挙げた。さらにスクラム、ブレイクダウンでも圧倒。ブレイクダウンではSO家村健太、CTB堀田礼恩といったBKも激しさを見せ、前半だけで50点を奪った。
PR平野叶翔主将は「春シーズン通して後半の立ち上がりが課題だった」と語るも、この日はしっかりと修正。一方的な展開を継続した。後半30分に関西学院大がLO堤保澄のブレイクとSH金築達也のトライでようやくスコアするも、京産大は最後まで手を緩めず、90-5で圧勝した。
京産大の新監督、廣瀬佳司氏は「これまでの京産のスタイルを踏襲して戦う。今日の試合はこれまでやってきたことにフォーカスして、80分間やり切れた。良い状態で夏の強化に向かっていける」と手ごたえを語った。
京産大は2週前の準決勝で同志社大に20-21(逆転負け)と僅差の試合を演じているだけに、今季の関西リーグ上位争いは混戦を極めそうだ。