勝ち切ったことが自信になったか。苦戦したことで課題を得たことが収穫か。
そう思いたい。
6月5日、6日と太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021の第3戦、熊谷大会(埼玉)が開催された。優勝したのは、女子セブンズ日本代表候補選手を多く含むチャレンジチーム。カップトーナメントファイナルで、ながとブルーエンジェルス(以下、NBA)を14-8と破った。
東京オリンピックまで残り50日を切っている。圧倒して頂点に立って自分たちに自信を、見守る人たちに安心を与えたかった。
しかし、決勝は原わか花のトライで先制しながら、逆転を許して前半を7-8で終えた。スコアをひっくり返したのは後半5分50秒過ぎだった(ここも原のトライ)。
さらに、直後のリスタートのキックオフボールを確保したのに、その後の攻撃途中にターンオーバーを許して攻められた。最後まで安心できなかった。
NBAとは、前日のプールマッチでも19-17。最後の最後に原のトライ、大黒田裕芽のコンバージョンキックで逆転して勝った。
大会MVPとなったファタシンプキンズ・カタリナ、トゥフガ・レベッカらから圧力を受け、2戦とも苦しんだ。
反則からピンチを招く。効果的に前に出られないから、チームが取り組む、キックを効果的に使うスタイルもなかなかうまくいかなかった。
個々に良いプレーを出すシーンはあっても、それがなかなか繋がらなかった。
チームの精神的支柱である中村知春は、「ながとさんには、いい意味で苦しませてもらいました。こういうゲーム展開を乗り越えることができたのは、メンバーにとっていい機会。大会に感謝します」と話した。
しかし、この2日間のパフォーマンスは五輪でメダルを取るレベルではなかった。「ワールドレベルを考えると30パーセント。満足できない」とした。
熊谷大会でキャプテンを務めたバティヴァカロロライチェル海遥も、「6試合勝ち切って終われたことはよかった。ただ、試合内容は改善しないといけないところがある」と冷静に現在地を見つめた。
代表候補の選手たちにとってはセレクションも兼ねている大会。その中でもっともアピールできたのは原だ。全6試合に出場し、すべての試合でトライを決めた。計13トライの活躍だった。
本人は、「トライの数というより、(全試合で)14分間走り続けられた体力が自信になった」と話した。
GPS計測によると、5試合目の準決勝、追手門学院大VENUS戦で時速31キロを計測したそうだ。
「粘り強くプレーもできた。チームを明るくしようと心掛けていました。それもできたかな」
チームの仲間が笑顔で大会を終えられたのは、この人の存在が大きかった。