明大が6月6日、東京・明大八幡山グラウンドで東海大を28―26で撃破。関東大学ラグビー春季大会Aグループを3戦全勝で終えた。神鳥裕之(かみとり・ひろゆき)監督は、就任後初の公式戦で劇的な逆転勝利を決めた。
前半は東海大がリード。明大はキックチェイス後の統制の取れた守り、複層的な攻撃陣形で活路を見出そうとしたが、要所で東海大の好タックルをもらうなどして攻撃権を逸す。
特に7、12分には、反則で自陣ゴール前に押し込まれた。東海大はその好機でラインアウトモールを形成。HOの土一海人、LOの小池隆成がトライラインを割るなどし、0―14とリードする。
7―14のスコアで迎えた前半ロスタイム41分にも、明大のペナルティーから敵陣ゴール前左でラインアウトを獲得。投入役の土井が列の前方にいたNO8のノア・トビオへ低いボールを送り、明治7-19東海とした。
明大では、5月までトップリーグのリコーを率いた神鳥監督が就任したばかり。2018年の就任から3季連続で4強以上の田中澄憲前監督からバトンを受け、まだ5日目だった。
しかし、グラウンドに立った選手たちはチャンスの場面で「メイジタイム!」。従前からあった掛け声を連呼する。伊藤宏明ヘッドコーチ以下スタッフは前体制と同じとあって、スムーズな引継ぎがなされている。
後半も東海大のタックルとカウンターラックに苦しめられたが、時間を追うごとに精度を高めたような。自陣からのボール継続で、東海大のエナジーを削る。
その意識でチャンスを掴んだのは、14―26とビハインドを背負って久しかった後半36分。自陣で得たペナルティーキックから敵陣22メートル線エリア右まで進むと、さらにペナルティーキックを得る。速攻を仕掛けてテンポよくラックを重ね、36分、途中出場した左PRの中山律樹がインゴールを割る。直後のゴール成功で21―26とする。
そして試合終了間際、やはり自陣から攻めまくった明大は、グラウンド中盤でもらったペナルティーキックを敵陣深い位置へ蹴り込む。
直後のフェーズアタックではグラウンドディングこそ叶わなかったが、ラストワンプレーで勝ち越す。
まずはこの日のゲーム主将でもあるNO8の大石康太副将が敵陣ゴール前左中間でパスを受け、26―26と追いつく。さらにはSOの池戸将太郎がゴールキックを決め、28―26とした。
ノーサイド。フィフティーンは絶叫した。
神鳥監督。「春から積み上げたフィットネス、ストレングスがどれだけ通用するかにチャレンジした。後半の半ばまで点数が離されましたが、諦めずにひっくり返せた。チームとして粘りが出てきたという印象でした」。
敗れた木村季由監督。「序盤は強みのFWが機能して流れを掴んだのですが、後半は受けに回ってミスと反則の負の連鎖を断ち切れず…。逆に明大さんは諦めずに自分たちの形をやり抜いた。原因は自分たちにある。修正したい」
両チーム試合後の監督の声は、関東ラグビー協会が用意したインターネット上のドライブにアップロードされた。関東大学春季大会では、試合直後の直接取材は行われていない。