日本代表に合流するまではハイランダーズ(ニュージーランド)に集中したいと言っていた姫野和樹が、3試合ぶりの先発で奮闘し、オーストラリアのチームと戦う「スーパーラグビー トランス・タスマン」でチームの4連勝に貢献した。
ハイランダーズは6月5日、地元ダニーデンのフォーサイスバースタジアムでワラターズと対戦し、59-23で快勝。姫野のトライを含め計9トライを挙げてボーナスポイントも獲得し、総勝点を18に伸ばして2位に浮上、プレーオフ決勝進出への可能性が高まった。
先々週と先週はリザーブからの出場だった姫野だが、この日は背番号8をつけてスターティングメンバーに復帰。
姫野の働きがまず光ったのは前半20分だった。ワラターズが得点したあとのリスタート直後、仲間とともにボールを持った相手選手に対してプレッシャーをかけ、反則を引き出し、ラインアウトからの攻撃に移って自らも突進してゴールに迫り、チームの逆転トライにつながった。
33分にはドライビングモールでパワフルなエンジンの一部となり得点。ハーフタイム前には力強いボールキャリーでダブルタックルを振り切り、さらに推進力を発揮、姫野の粘りがチームの5トライ目につながった。
33-23で迎えた後半早々には、タックル後、すぐにブレイクダウンでからんで得意のジャッカルに成功。
姫野の勢いは止まらず、62分(後半22分)にはモールの最後尾から押し込んで自身がインゴールにグラウンディングし、“トランス・タスマン”で初トライを記録した(ハイランダーズ加入後2トライ目)。
姫野はフル出場とはならなかったものの、72分まで奮闘し、チームの勝利に貢献した。
「いい部分もあり、あんまりよくない部分もありました。タックルの精度が低かったので、そこは反省点。コンディション的にはいいです。走れているし、試合勘も戻ってきているので、(日本)代表へ向けてもいいステップアップができていると思います」
そう語る姫野だが、実は心身ともに疲れていることも明かした。
単身でニュージーランドへ渡り、言葉も違うところで慣れない環境のなか、悩みを打ち明けられる人もおらず、毎週毎週、結果を残さなきゃいけないと自分自身にプレッシャーをかけすぎていた部分があったという。
しかし、26歳の若武者の心は折れなかった。
「自分が選んだ道。刀は、しっかりたたいて、たたいて強くなっていく。もがきたいと思います」
次は大勝負。スーパーラグビー トランス・タスマンは次週がリーグ戦最終節で、プレーオフにはリーグ戦の上位2チームが進むことになっており、ニュージーランド勢の4チーム(1位:ブルーズ=勝点19、2位:ハイランダーズ=勝点18、3位:クルセイダーズ=勝点18、4位:ハリケーンズ=勝点16/2位と3位は総得失点差。ハイランダーズが11点多い)がファイナル進出を争う。
姫野がいるハイランダーズは6月11日、オーストラリアのキャンベラでブランビーズと対戦する。