5月26日から大分県別府市で合宿している日本代表が30日、メディアに2度目となる練習公開を行った。
グラウンドにはトップリーグ決勝を戦ったパナソニック ワイルドナイツ、サントリーサンゴリアス両チームの選手、ジェイミー・ジョセフHC、トニー・ブラウン アタックコーチの姿もあり、この日が実質全員揃ってのスタート。ツアーメンバーには入っていないが、ワイダースコッドのCTBディラン・ライリーも参加していた。午前中1時間の公開だったが、「30日から強度が上がる」と言っていたリーチ マイケル主将の言葉を裏付ける中身の濃い時間となった。
グラウンドでの1時間はFW、BK分かれてのメニュー。BKはスピード、アジリティのスキル練習からグリッドでのタッチフット、7対7でのアタックの確認へ。FWはラインアウト、モールの練習に続き、スクラムへ。初日から8対8で組み合った。
午後、オンライン会見に応じたPR稲垣啓太は「4年前は、初日からスクラムなんて組めなかった。それだけ、この4年間でスタンダードが上がっている」と、手ごたえを語った。
ワールドカップは2015年、19年と2大会を経験。3度目の出場となる2023年大会に向けた、このチームで目指すのは世界一のスクラムだ。「前回(のワールドカップ)は南アにスクラムをコントロールされて負けた。世界に通用する世界一のスクラム」
「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ、アイルランド、(秋に対戦する)スコットランド、(2023年ワールドカップで同組の)イングランド、どこもセットピースでペナルティを狙ってくる。まずそこに対してこちらから仕掛けるマインドを持たないと」
そのためには、日本代表のスクラムも進化しなくてはいけない。この日、長谷川慎スクラムコーチからは、新しい体の使い方に関するアドバイスがあったが、「後々出てくると思う」と明言は避けた。
所属するパナソニック ワイルドナイツも、今季スクラムがより強化。優勝に少なくない役割を果たした。稲垣自身、「スクラムで貢献できたシーズンだった」と手ごたえを語っていた。ジャパンのスクラムに関しても、個人的に新しい取り組みが始まっている。
それは「ギャップをコントロールすること」。
「欧州のラグビーは、頭と肩と手を使って必ずギャップを作り出している。トップリーグから取り組んでいたが、やりすぎるとペナルティになる。欧州は“やりすぎなくらい”やる。それが大前提。ギャップを作り出して、アドバンテージをとるのが自分自身やりたいこと」
経験がものをいうスクラムの駆け引き。長谷川コーチと共に、新しいスクラムへの挑戦は始まっている。
練習がメディアに公開されるのは、この日が最後。チームは6月8日まで別府で合宿を行う。